新近江名所圖会 第116回 今も昔も変わらぬ風景-楊梅の滝-

(大津市北小松)

 今年もまた、梅雨明けからとても暑い日が続いていて、滋賀県内でも最高気温が30度を大きく上回る(気象台の百葉箱の中の気温)日の連続です。しかし、いくら暑くても発掘調査を止めるわけにはいきません。地表の気温は40度はあるであろう炎天下での作業、私たち発掘調査に携わる職員は真っ黒に日焼けしています。私なんかは、「黒糖まんじゅうのようだ」とか、「どうしたんですか、その顔は?」と言われたりする始末です。

雌滝

雌滝

 こんな季節ですので、今回は皆さんに「涼」をお届けしようと思います。
 今回ご紹介するのは「楊梅の滝」です。「ようばいのたき」とも「やまもものたき」とも呼ばれています。この滝は比良山系の北東部、比良山系の主稜が釈迦岳から北に徐々に高度を下げていくところを水源とする滝川にかかります。下から「雌滝(15m)」「薬研の滝(21m)」「雄滝(40m)」の3段に分かれていて、全てをあわせた落差は76mと県下最大の落差を誇ります。このような大きな滝ですので、山の麓からもその姿が見え、JR湖西線の車窓や琵琶湖上の船上からも雄滝を遠望することができます。大津市街地から国道161号を北上しますと、北小松駅手前で湖西線と立体交差するあたりから北小松駅くらいまでの間で、左手の山に見えるシシ岩と呼ばれる巨岩の右手に白布を引くように流れ落ちる雄滝が見えます。大雨の後などは水量も多く、とてもはっきりとその姿がわかります。

雄滝

雄滝


 この滝の名前は、室町幕府第13代将軍足利義輝が命名したと伝えられています。その由来は、「真っ黒く風化した花崗岩の岩肌を流れ落ちる白い水柱を楊梅(やまもも)の大樹に見立てたため」とか、「滝の落ち口に楊梅の大樹が生えていたため」など諸説あります。足利義輝は管領細川晴元やその臣下三好長慶らと対立を繰り返し、敗れるたびに京を追われて近江の坂本や朽木に逃れてきました。おそらくはこのあたりにまで足をのばした時に命名したのでしょう。

おすすめPoint

 楊梅の滝へはJR北小松駅から比良山岳センターを経由して徒歩35分くらいで一番下の雌滝に着きます。さらに、雄滝など上流部の滝を見ようとすると、雌滝手前の登山口から滝見台と呼ばれる展望台を経由して雄滝まで40分ほどで行けますが、ハイキングに出かけるつもりで挑戦してください。一番簡単に行ける雌滝でも滝に近づくと風がヒンヤリ気持ちよく、マイナスイオンや細かな水しぶきを体いっぱいに浴びることができます。なお、登山道に梯などがあります。注意が必要です。
 暑い夏。自然の涼しさを求めてお出かけしてはいかがでしょうか。そして、足利将軍になった気分で滝を愛でてはどうでしょうか。

アクセス

【公共交通機関】JR湖西線「北小松駅」下車 徒歩 35 分
【自家用車】湖西道路比良ICから10分で最寄りの駐車場、そこから徒歩20分


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(岩橋隆浩)

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