新近江名所圖会 第13回 江若鉄道廃線跡―失われた鉄路の痕跡―

大津市北小松
湖西線の高架と江若鉄道の築堤

湖西線の高架と江若鉄道の築堤
(高架の右下の草に覆われた堤)

 滋賀県内では、近年急速に開発が進んできました。その結果、これまではごく普通に目になじんでいた光景が失われつつあります。その風景を新近江名所図絵の一つとして、ご紹介しようと思います。
 最近、鉄道の廃線跡を見てまわることが密かなブームとなっているようで、それに関するガイド本なども多く出版されています。滋賀県内でも過去の鉄道の遺産は多く残されており、その代表的なものとして、旧東海道本線の旧逢坂山トンネルなどがあげられます。また、意外と知られていませんが、痕跡を途切れ途切れでも追うことのできるものとしては、江若鉄道の痕跡があげられるのではないでしょうか。
 江若鉄道は、浜大津と近江今津を結んでいた私鉄で、昭和6年の全線開通以降湖西地域の足として親しまれてきました。しかし、旧国鉄湖西線にその使命を譲り昭和44年に廃止されました。その線路の跡は、多くが湖西線と重複しており、その外にもたくさん痕跡が残されています。しかし、廃止されてから約40年経過しているため、線路の跡地も土地区画整理やさまざまな開発によって失われてきています。現在も駅舎が残されているのは旧近江今津駅のみですが、筆者が中学生の頃(30年ほど前ですが・・・)には、旧堅田駅が江若バスの本堅田バス停として使われていた記憶があります。

おすすめPoint

築堤上の現在の状況

築堤上の現在の状況

 さて線路の跡地ですが、道路などに再利用されているところが多いようで、現在も確認できるところがあります。その中で最も当時の雰囲気を残している場所が湖西線北小松駅周辺ではないでしょうか。特に、北小松駅の北側には琵琶湖側に大きくカーブする築堤(堤状に盛られた線路の路盤)があり、江若鉄道が走っていた頃の雰囲気が色濃く残されています。この築堤上の道路は、つい数年前までは未舗装の生活道路でした。非常にいい雰囲気を醸し出していたのですが、舗装に伴ってガードレールなどが設置されてしまったことは少々残念ではあります。ただ、トンネルで山を貫き直線的に走る新しい鉄路と、等高線に沿って山裾を優美なカーブを描いて走る古い鉄路との対照が、一目でわかるビューポイントであることには変わりないと言えるでしょう。
 江若鉄道が活躍していた頃の痕跡も少しずつ少なくなってきました。旧近江今津駅舎とともに是非皆さんに見ていただきたい風景としてご紹介しました。

周辺のおすすめ情報

 周辺には星の博物館(比良げんき村)や北小松区営の水泳場・キャンプ場などアウトドアスポットがあります。
 お子様の夏休みの自由研究に、親子で廃線散策を楽しんだ後には、星の博物館プラネタリウムに寄ってみてはいかがでしょうか。また、暑い日には水泳場でひと泳ぎというのも楽しいかもしれません。

アクセス

【公共交通機関】JR湖西線北小松下車 徒歩10分
【車】 湖西バイパス比良ランプ下車10分、駐車場無


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(岩橋 隆浩)

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