新近江名所圖会 第76回 棚田のある風景-鵜川の棚田

高島市鵜川

 「千枚田(せんまいだ)」とか「段々畑(だんだんばたけ)」と呼ばれる「棚田」、全国的には能登半島の輪島市白米や長野県千曲市の姨捨が有名です。
 棚田とは、農林水産省によれば急傾斜の山間地の階段状棚田を指し、傾斜度が20分の1(水平距離を20m進んで1m高くなる傾斜)以上の水田と定義しています。県内の棚田は、ほ場整備事業(耕地区画・用排水路・農道の整備、土層改良、生産性の向上、農村環境条件の整備)によりめっきり少なくなりました。数は少なくなりましたが、棚田は、高島市畑(はた:地区名)をはじめ、大津市栗原・仰木、甲賀市甲津畑、米原市伊吹など約2,200haがあります(滋賀県農政水産部)。
 この棚田、四季折々の日本の美しい景観を示すとして、1999年に全国117市町村・134地区の棚田を「日本の棚田百選」に選定されました。滋賀県では唯一、高島市「畑の棚田」が選ばれました。また、最近ではそれとは別に文化庁でも棚田を含む景観を「重要文化的景観」に選定しています。
畑の棚田は、359枚の石積み畦畔で造られた田んぼが幾何学模様に広がり、映画「男たちの大和/YAMATO」のロケ地になりました。また、NHK「鶴瓶の家族に乾杯」でも取り上げられました。仰木の棚田は写真家今森光彦さんの「里山物語」でご存じの方も多いと思います。

おすすめPoint

鵜川の棚田

鵜川の棚田

 写真は高島市鵜川の棚田です。大津方面から国道161号を進み、大津市北小松を過ぎて高島市の最初の集落が鵜川です。左手に石積みの棚田、右手に琵琶湖が目に飛び込んできます。棚田のある山腹には、江戸時代に積まれたと考えられている石積みの猪垣が累々と続いています。
 鵜川の棚田のおすすめは、何と言っても高いところから眺める雄大な琵琶湖と棚田のコントラストです。対岸に沖島・荒神山、空気が澄んでいる日には三上山、遠く鈴鹿山系まで望むことができます。滋賀県の景色を語るには琵琶湖は欠かせません。琵琶湖と棚田がおりなす滋賀ならではの風景です。
 棚田の中を南北に走るJR湖西線からも、北小松と高島トンネルのわずかな間の車窓からこの風景を眺めることが出来ます。湖西は比良山が湖岸まで迫り、平地が非常に少ないところです。その少ない平地を余すことなく利用するため湖岸まで棚田を作りました。

棚田と琵琶湖が織り成す風景

棚田と琵琶湖が織り成す風景

 棚田は耕作されていることが大事です。多様な生物の宝庫であり、地下水を蓄え洪水や土砂の流出を防ぐだけではなく、田んぼを作り続けてきた歴史を感じ、四季折々に変る姿はふるさとの景観としての安らぎとぬくもりを与えてくれます。
しかし、一方で区画が揃わない棚田の耕作と維持管理には、多大な労力が必要です。耕作者の高齢化や担い手の減少による耕作放棄は深刻な問題になっています。
 そこで、棚田維持のために営農方法の検討や機械化、農業体験、オーナー制度が行われています。日本の棚田百選もその起爆剤として選定されました。近年、訪れる方々が増えています、私有地で大変大切にされていますので、訪れる際は、マナーを守り楽しんでもらいたいと思います。

周辺のおすすめ情報

 鵜川にはふれあい農園があり、国道沿いの鵜川ファームマートでは地元で収穫された新鮮な野菜が販売されています。
 鵜川の集落から北へ10分ほど歩くと重要文化財も本殿と湖中に浮かぶ朱色の鳥居がある白髭神社(第24回)県史跡鵜川四十八体仏(第24回)があります。さらに、進むと大溝城跡(第66回)や江戸時代の面影を残す町並みエリアがあります。
 畑の棚田は山間地にあり、JR高島駅から畑行きのバスが出ています。

アクセス

【自家用車】国道161号大津方面から高島市に入ってすぐ、駐車場なし


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(葛野 泰樹)

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