新近江名所圖會 第270回 滋賀県立安土城考古博物館のパワースポット

 私は平成29年4月から滋賀県立安土城考古博物館で勤務しています。初めての学芸員としての勤務で、最初は戸惑いもありました。しかし文化財を守るという意味では、発掘現場と同じように最前線の仕事ですので、とてもやりがいのあるものです。
 さて、博物館勤務も10か月を迎え、日々の業務にも慣れてきました。そんな中、館内で不思議な光景が頻繁にみられることに気づきました。最初は気にならなかったのですが、数か月が経ってから気になって仕方がありません。今回はそれを紹介したいと思います。
 当博物館は、第一・第二常設展示室と企画展示室の大きく3つの展示室があります。そのうち第一常設展示室は縄文時代から古墳時代の発掘調査等の、考古学から分かったことを中心に展示しています。第二常設展示室は、特別史跡安土城跡や織田信長、近江の戦国時代を主なテーマに展示をしています。企画展示室は春・秋の特別展や、夏・冬の企画展を行います。
 先に述べた不思議な光景が見られるのは、第二常設展示室です。第二常設展示室をもう少し詳しく説明すると、入ってすぐ目の前に特別史跡安土城跡の模型が展示してあり、そこから左回りの順路となります。展示は、安土城が築城される以前のお城の形態や様々な石垣、観音寺城や小谷城の模型、近江の戦国時代、安土城跡の発掘調査の成果、信長の肖像画や関係する資料や史料、近世城郭となっています。
 当博物館に来館された方も多いと思いますし、上の説明を書いていても、特段不思議なことが起こるような展示はないと思います。しかし、不思議な現象が起こるのは信長の肖像画を集めたコーナー、その前に置かれた木製の長椅子です。何の変哲もない、ただの椅子なんですが、なぜか若いお客さんからご年配のお客さんも、カップルやご夫婦、ご家族がお二人で肩寄せ合って座っていらっしゃることがよくあります。特に何かお話しをされているようではなく、ただただ椅子に座り、仲睦まじくされているのです。

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カップルシート

 先に書きましたが、信長の展示は、第二常設展示室の終わりの方なので、最初は休憩のために座っていらっしゃるのかなと思っていました。しかし、若いカップルからご年配のご夫婦と思われる、必ずお二人が座っていらっしゃることが多いのです。こう言ってはなんですが、椅子の前には信長の肖像画が多数並んでいるだけです。そんなにロマンチックな場所ではありません。でもカップルが仲良さそうに座っているのです。そんな光景をみて、こちらもなんだか心温まるような気がします。
 そんな長椅子を私は勝手に「カップルシート」と呼び、人を睦まじくさせるパワースポットだと思っています。展示室を巡回していて、この椅子にカップルが座っていると「あ、今日も座ってる!」と内心楽しみにしています。
 当博物館は平成30年2月13日(火)から2月23日(金)までメンテナンス休館をいただき、2月24日(土)から4月8日(日)まで「開館25周年記念 第57回企画展 収蔵品で語る城郭と考古」を開催します。私も一部展示を担当しております。また、特別陳列「世界記憶遺産『朝鮮通信使に関する記録』登録記念展」を3月18日(日)まで開催しております。ぜひとも展示をご観覧いただき、第二常設展示室のパワースポット「カップルシート」で休憩していってください。

福西貴彦

【アクセス】
●電車でお越しの方
 JR琵琶湖線「安土駅」より徒歩25分。レンタサイクル10分。
●お車でお越しの方
 名神高速道路竜王I.Cまたは八日市I.Cより車で30分
 名神高速道路蒲生S.I.Cより車で25分。
 国道8号線西生来交差点を経由して加賀団地口交差点を右折
●バス(あかこんバス)でお越しの方
 平日、安土駅南広場より1日4便コミュニティバスで14分

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