調査員のおすすめの逸品 No.124 高所作業車

高所作業車

高所作業車

 私たちが行っている埋蔵文化財の発掘調査では、図面や写真で遺跡の状況を記録します。今回は、写真撮影に威力を発揮する高所作業車を紹介します。
 おすすめの逸品No.77では、ローリングタワーについて紹介しています。ローリングタワーは1.8mのスチール製のフレームを3段に組み上げて撮影台として使用します。したがって、地面から5.4m(=1.8m×3段)の高さから撮影することができます。天板を敷きつめれば1.5畳ほどの広さが確保できるため、高所恐怖症の私でもフィルムやレンズの交換作業を安心して行えます。
 しかし、調査地が広大でより高所からの撮影が必要な場合は高所作業車の出番です。高所作業車は、その名の通り人が高所で作業するための車で、当協会では人が乗り込むためのゴンドラ(デッキ)を取り付けたクレーン車を使用しています。クレーンを最大に伸ばすとゴンドラの地上高は約27mになり、ローリングタワーの5倍!!の高さから撮影することができます。調査トレンチの全景写真はもとより、遺跡が立地する地形も広範囲に撮影することができます。
真上からの撮影

真上からの撮影

 また、ローリングタワーは重量が重く、移動や設置が重労働ですが、高所作業車はクレーン式ですので旋回してアングルを変えることができますし、車ですから移動も容易です。さらに、ローリングタワーでは撮影できない真上からの写真も撮ることができます(横転の危険があるため、あまり横方向には伸ばせませんが)。
 車両が進入できない調査地では使用できないのが難点ですが、このようにとても有効な撮影手段で、逸品といえるでしょう。ただ、高所からの撮影は広い範囲が1枚におさまるかわりに、精細な描写という点ではどうしても劣ります。ですから、ローリングタワーや高所作業車など、何をどう写すのか撮影目的に応じて使い分けています。
撮影の様子

撮影の様子


 撮影ポイントを決めて器材を担いでゴンドラに乗りこみ、クレーンを伸ばしてアングルを決めるまでは油圧を使いますのでエンジンはかかったままです。このままでは写真がブレてしまうので、操作オペレーターにOKのサインを伝えるとエンジンが切られ、静寂が訪れます。撮影タイムスタートです。撮り終わってふと我に返ると、それまで気にならなかった風の音が聞こえてくるのと同時に、高所にいることに気づき、体が震えてきます。ゴンドラの手すりを強く握り締め、地上に生還するまでの時間がとても長く感じられます。
撮影した写真

撮影した写真


(大崎康文)

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