調査員のおすすめの逸品 No.24 細かい仕事に一押しのこれ-電気掃除機-

 発掘調査と聞くと竹ベラや刷毛でちょこちょこと細かく土を取り除いている様子をイメージされる方が多いようです。しかし、実際の発掘現場では、作業の工程に合わせて大から小まで、じつにさまざまな道具を使いわけます。たとえば、遺跡のうえを覆っている現代の耕作土や盛土などは、できるだけ早く取り除いたほうが効率的なので、ほとんどの発掘現場でパワーショベルを使っています。また、埋没してしまった生活の痕跡(遺構)を掘り出すには、土の色や質の変化を的確に見極めることがたいへん重要なポイントになります。そのためには、遺構が刻みこまれた地面(遺構面)をていねいに削って、できるかぎりきれいにする必要があります。もちろん、記録写真を撮るときももちろん美しく清掃しなければなりません。遺構検出や遺構面の清掃作業には、通称ガリ(もとは雑草の刈り取り用の道具。これで地面をガリガリ削ることからこのように呼んでいます)を用いて土の表面を薄く削りとります。削った土はホコリを集めるように箕ですくいあげて遺構面に残さないようにします。
 ところが、遺構面に石が多く含まれていたり小さな起伏があったりする場合などは、土を残さずきれいにすくいとることが困難です。刷毛で掃くと土をよく集められるのですが、掃いた土が遺構面の上を動くので、せっかくきれいに削られてあらわれた新鮮な土色がぼやけてしまいます。

陶器の炭を吸っているところ (散った炭が遺構面を汚すことを防げる)

陶器の炭を吸っているところ
(散った炭が遺構面を汚すことを防げる)


 このようなときに威力を発揮するのが電気掃除機です。狭くて手や道具が入らないような細かいところでも土や砂の取り残しがなく驚くほど美しく仕上がります。最大の工夫は吸い込み口の口径をガムテープなどで調整することです。吸引力の調整もできますし、防水型掃除機を使えば泥水も吸いとることができます。たまに土器片などが土といっしょに吸い込まれたりして、あわてることもありますが・・・。
 小型発電機を使えば、場所に制約されずどこでも使えますし、通常サイズのものでもさほどかさばる道具でもありません。なんといっても特殊な道具ではないので、手に入れやすく、安いものでは1万円くらいで購入でき、価格のわりにいい仕事をしてくれる逸品です。

(平井美典)

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