調査員のおすすめの逸品 No.71 調査員の根っこを生み出した逸品―学研の漫画と付録―

娘の参考書として最近買った学研の歴史漫画 (やっぱり楽しい。)

娘の参考書として最近買った学研の歴史漫画 (やっぱり楽しい。)

 昭和50年代半ば、小学校高学年の私の夢は教師になることでした。特に中学にあがってからは、歴史の教師になることを目指し、その夢は高校2年生まで持ち続けました。
 その後、教員採用試験の門の狭さと教員としての適正不足を親に諭され、あっさり断念。大学進学後に考古学と出会い、埋蔵文化財調査員への道を突き進むことになりますが、私の人生の根幹が「歴史好き少年」だった点にあるのは間違いなさそうです。今回は、その調査員としての根っこを作ってくれた逸品について考えてみたいと思います。
 多くの考古学者は幼少のみぎりに土器や石器、埴輪などを拾い集め、そこから自らの運命を知るようですが、私の故郷は遺跡の密度が極めて低く、そういった意味では恵まれない環境で育ちました。そんな少年に歴史の面白さを教えてくれたのは何か・・・。
 それは父母が毎月とってくれていた学研の『科学』と『学習』です。特に私の心を捉えて離さなかったのは付録。私の小遣いはごくわずかで、漫画や玩具をほとんど持っていませんでした。だからこそだと思うのですが、お勉強雑誌とセットでやってくる付録は私を大いに狂喜させてくれました。当時のCMソング-「まだかなまだかなー♪学研の、おばちゃんまだかなー♪」は、私たちの気持ちをまさに代弁するものだったのです。
 特に没頭したのは漫画。「日本の歴史」シリーズは夢中で何遍も読み返しました(写真1)。storyとhistoryは同じ語源を持ち、historyからhiが抜け落ちてstoryという言葉が生まれたそうですが、この漫画のおかげで、私にとっての歴史は教科ではなく(ましてや単なる暗記科目ではなく)、storyとして心躍らせる対象になったのです。
 いま改めて調べると、作者にはムロタニツネ象さんや田中正雄さんといった方々の名が見えますが、私はこの先生方に大きな声でお礼を申し上げたい!多くの少年少女を正しく導いてくれて、本当にありがとう!!現代日本の歴史的な教養を陰ながら育み、支えて下さったのはあなた方です!と。
イオンモールで登場予定の和同開珎とレプリカ 小学生の心の財産になることを願って

イオンモールで登場予定の和同開珎とレプリカ 小学生の心の財産になることを願って

 このような興奮を促す付録の仲間にはレプリカもありました。プラスチックでできた高床式建物の模型や和同開珎は歴史を身近に感じさせる優れものでした。残念ながら、時代の流れで『科学』と『学習』は廃刊になったそうですが、ことに歴史教育に関して言うならば、その手法とスピリッツ-躍動感と親近感を持たせる工夫―は、これからも継承して行くべき大事な姿勢だと私は考えます。
  そんな私の娘の歴史のノート。のぞいてみたら、穴埋め問題対策の無味乾燥な事実の羅列。こんなのhistoryぢゃないっ!!誰かが立ち上がらねば・・・というわけで今年もやります「イオンモールの体験学習」。今春は「和同開珎」の仕上げ体験で、小学生にシビれていただきます(写真2)。まいど好評の調査員の展示解説もさらに充実!調査員ならではの生のhistoryを語ります。詳しくはこちらのチラシを御覧ください。
 歴史教育を「教科」から「教養」へ。皆様の素敵な人生のために、その変身を今年も当協会がお手伝いしてまいります。引き続きよろしくご愛顧下さい。

(瀬口 眞司)
 

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