調査員オススメの逸品 第231回 両刃鎌-通称ガリ-

 我々調査員が、普段何気に使っている道具は、現場では通称で呼ばれることが多いものです。第230回にも登場した「ガリ」もそのひとつ。今回は若き調査員の視点で「ガリ」の思い出を語ります。

1両刃鎌

両刃鎌

2遺構検出

遺構検出

3断面精査

断面精査

 今回紹介するおすすめの逸品は、発掘調査の必須アイテムともいえるものです。一般的には両刃鎌として知られている道具で、私の知る限り、滋賀県をはじめ、関西の発掘現場では「ガリ」と呼ばれているものです。ホームセンターの園芸コーナーや農具売場で目にすることが多いこの道具、実は発掘調査の現場で、遺構検出(重機による掘削が済んだ後に調査区内を平滑に削り、遺構を見つける作業)や断面精査(土層の堆積状況を調べ、遺跡の形成過程を明らかにする作業)の際によく使われます。と、ここで一つこの両刃鎌に関するエピソードをご紹介したいと思います。興味ある方は一読ください。
 私は、学生の頃、主に関西で発掘調査に参加させていただいており、この道具は「ガリ」という道具だと何の疑いもなく認識していました。両刃鎌という名称すら知らなかったくらいに「ガリ」という呼び名に慣れ親しんでいたのです。
 しかし、卒業後に長野県で発掘調査に従事した際、これが「ガリ」でない場合があることを知りました。発掘現場で作業員さんに「遺構検出をするからガリを用意して下さい。」と指示しましたが、通じず、ポカンとした表情でこちらを見つめて困惑気味に「ガリって何ですか?」と・・・。私が両刃鎌を手に取り、「これのことですよ。」と返すと、「あ~、リョーバのことですか。」と理解された様子でした。以後、私はこの道具を「リョーバ」と呼ぶようになりました。
 その後、私は縁あって埼玉県で発掘調査に従事することになりました。埼玉県で発掘現場に立った時、「リョーバ」が無いことに気付きました。関西や長野県の発掘現場であれだけ多用していた「ガリ」や「リョーバ」を使わないことに最初非常に驚きました。私は、埼玉県での発掘調査ではこの道具を使った記憶がありません。無くても支障なく発掘調査できたからです。
 このような経験を通して、私はところ変われば、同じ道具でも呼び方が異なり、また、発掘調査で使用する道具も異なるということを身をもって知りました。道具の呼び方については地域や組織の伝統(慣例)が、使用する道具については、土地の性質などが大きく影響しているのでしょう。
 そして、今、当協会の職員として滋賀県で発掘調査に従事し、両刃鎌を「ガリ」と呼ぶ日々を過ごしています。両刃鎌を「ガリ」と呼ぶときが、私としては「帰ってきた感」を感じる瞬間でもあります。
 でも、そもそもなぜ「ガリ」と呼ぶのでしょうか?ご存知の方は是非教えてください。

宮村誠二

編集者談:私が学生の頃は半月状のねじり鎌をガリと呼んでました。両刃鎌は就職してから初めて見ました。ねじり鎌のガリは丈夫で長持ちしましたが、扱うにはそれなりのテクニックが必要でした。20年くらい前の作業員さんは農家の方が多かったので、そんな道具も上手に使いこなしておりました。その頃の作業員さんたちも「ガリ」と呼んでおりました。

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