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新近江名所図会

新近江名所圖会 第41回 車窓から見える田園の古墳群-木村古墳群-

東近江市
東近江市川合町
久保田山古墳(雨乞山古墳から、後は雪野山)
久保田山古墳(雨乞山古墳から、後は雪野山)

名神高速道路下りの黒丸PAを越えてしばらく走ると、左手に2基の古墳が見えます。これらが木村古墳群の久保田山古墳(くぼたやま)と天乞山古墳(あまごいやま)です。
木村古墳群は、雪野山と布施山との間に挟まれた平野部の南端に位置し、5基以上の古墳から構成される、古墳時代中期の滋賀県下最大規模の古墳群です。名神高速道路の工事などで多くの古墳が失われましたが、残された久保田山古墳と天乞山古墳の2基の古墳は、平成2年に県の史跡として指定され、復元整備されました。
木村古墳群は、ケンサイ塚古墳、石塚古墳、入谷(いたち)古墳、久保田山古墳、天乞山古墳等ので構成され、現在では久保田山と天乞山古墳が残るのみですが、石塚古墳については墳丘が失われたものの、周濠が残っていることが確認されています。また、ケンサイ塚古墳は、墳丘径が70~80m、高さ10mという県下最大の円墳であることがわかっています。

おすすめPoint

久保田山古墳

久保田山古墳
久保田山古墳

久保田山古墳は、直径57m、高さ5m以上の円墳で、南北両端に造り出しの付く類例の少ない形状で、周囲に周濠を巡らしています。墳丘は上下2段に分かれており、周囲に埴輪を立て並べていました。
出土した埴輪のほとんどが円筒埴輪ですが、造り出しの部分には朝顔形埴輪も立てていたことがわかっています。また、墳丘外面は割石による葺石で全体が覆われていたようです。埋葬施設の構造は明らかではありませんが、石室の一部と思われる石材が出土しています。
古墳の築造年代は、出土品と墳丘の形状から5世紀後半代と考えられます。
現在は、葺石、信楽焼で再現した約390個の円筒埴輪が並べられ、当時の姿を再現していますので、古墳の規模の大きさや壮麗さをあらためて実感することができます。

天乞山古墳

天乞山古墳
天乞山古墳

天乞山古墳は、一辺が約65m、高さが推定11m程度の方墳で、南北両端に造り出しの付く特異な形状の古墳で、方墳としては滋賀県下最大規模、全国でも有数の規模の古墳です。
墳丘は上下2段に分かれており、西側の造り出し部を中心として葺石を貼り付けています。埋葬施設は明らかではありませんが、石室と思われる石材が確認されていることから竪穴式石室と考えられます。
古墳の築造年代は、出土品と墳丘の形状から5世紀後半代と考えられます。
復元された天乞山古墳に登ると、久保田山古墳がよく見えます。見晴らしが良いので、古墳周辺に広がる田畑や住宅、名神高速道路の背後に広がる山々などが良く見え、ののどかな景色が楽しめます。

天乞山古墳 復元埋葬施設
天乞山古墳 復元埋葬施設

周辺のおすすめ情報

木村古墳群から南西に約1.5kmに雪野山があります。山頂付近には、3世紀末~4世紀前葉頃に築かれた、全長70m程度の前方後円墳である雪野山古墳があります。
平成元年(1989)に全国でも珍しい未盗掘の状態で発見されました。竪穴式石室から三角縁神獣鏡などの副葬品も出土し、話題を呼びました。現在は埋め戻されていますが、山頂まではハイキングコースが整備されているので、四季の自然を楽しみながら散歩をすることができます。
また、周辺には多くの古墳群があり、そのうちの県指定史跡八幡社古墳群(新近江名所図会第19回で紹介)を活用して、山麓に歴史公園が整備され、歴史と自然を満喫できます。

アクセス

【公共交通機関】JR琵琶湖線近江八幡駅南口 近江バス北畑口行もしくは長峰集会所前行「あかね古墳公園前」下車徒歩2分
【自家用車】名神高速道路竜王ICから15分、駐車場あり


より大きな地図で 新近江名所図絵 第1回~第50回 を表示

(具志堅 有紀)

≪参考文献≫
・蒲生町教育委員会2003『木村古墳群-悠久の丘 あかね古墳公園整備事業報告書-』(蒲生町文化財資料集(26))

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