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縄張り図作成セット

オススメの逸品

調査員のおすすめの逸品 No.90 レーザー距離計

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これまで、発掘調査や整理調査で力を発揮するアイテムや、工夫をこらしたお手製の道具など数々の逸品が紹介されてきましたが、今回は普段の発掘調査などで使っている道具ではなく、自身の調査・研究、もとい趣味でよく使っている機器を紹介したいと思います。

縄張り図作成セット
縄張り図作成セット

休日には山の中にある城跡や寺跡を訪れることが多い私は、時には現況遺構を観察して図上に表現した「縄張り図」という図面を作成することがあります。縄張り図は曲輪などの平坦面や土塁・堀切といった遺構の配置を、地形図にのせて平面的に図化したもので、その作成には方位と距離を計測する必要があります。方位は方位磁石(コンパス)を用いますが、距離を測るときに活躍しているのが今回ご紹介する「レーザー距離計」です。
山城や山寺といった山の中にある遺跡は、広いものではその範囲が数百メートルに及ぶ場合もありますので、縄張り図を作成するときには1メートル単位で距離を計測することが主流です。ふつう距離を測るには、巻尺を使用したり、歩測を用いたりします。しかし、巻尺の場合は一方を固定しておかなければなりませんし、草木が生い茂っている場所では正確な距離を測ることは難しくなります。また、歩測は熟練者になると正確な距離を測ることができるのですが、距離が長くなる場合や平坦な地形でない場合には誤差が大きく出ることがあります。

レーザー距離計
レーザー距離計

こういったときに「レーザー距離計」が活躍します。レーザー距離計は、本来ゴルフのヤード測定などで使用されているようですが、ひとつボタンを押すだけで移動することなく視準した目標物(例えば立木など)までの距離を即座に計測できるので、草木の生い茂った場所や渡ることが躊躇されるような小川の対岸といった、移動が困難な場所も多い山の中での距離計測に重宝しています。
ところが、私の使用しているレーザー距離計には少し難があります。それは比較的安価な製品のため、10メートル以下は計測できないという点です。そのため、10メートル以下の距離計測では歩測を用いているので、実際にはレーザー距離計と歩測を併用していることになります。
最近では「せっかく買ったのだから。」と、発掘現場事務所への電気工事の際に、電柱から事務所までの電線が必要な距離を計測したり、発掘調査区わきの道具置き場や駐車スペースの配置を計画するための距離を計測したりと、人知れず少し無理をして使っています。発掘調査ではミリ単位で正確に計測するため、レーザー距離計は出番がありませんが、特に山の中のように広くて木々の立ち並ぶ場所で距離を計測するときには大活躍するスグレモノです。

(小林裕季)

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