新近江名所図会
新近江名所圖會 第440回 中江藤樹・たかしまミュージアム ~たかしまの歴史がすべてわかるミュージアム~
令和7年6月1日、高島市に「中江藤樹・たかしまミュージアム」がオープンしました(写真1)。もともと高島市には、合併前の旧町村時代に建てられた4つの歴史系の展示施設がありました(高島歴史民俗資料館:旧高島町、朽木資料館:旧朽木村、マキノ資料館:旧マキノ町、中江藤樹記念館:旧安曇川町)。しかし、それぞれが離れた場所に立地しており資料が分散していることや、各施設の老朽化といった問題があり、また、近年は施設の管理運営上、事前に見学希望の申し込みをすれば開館してもらえるという、気軽に訪れるには少しハードルが高い状況となっている館もありました。

そこで、地理的に市内の中央部に近くてアクセスも良く、道の駅「藤樹の里あどがわ」などの集客力のある施設のそばにあった中江藤樹記念館がリニューアルされることになりました。そして、4館の機能が集約され、歴史や文化財の新たな発信・展示施設として誕生したのが「中江藤樹・たかしまミュージアム」なのです。
〔おすすめPoint〕
まさに高島の歴史についてギュッと集約された施設となったことが私のおすすめする理由です。ぜひとも一度訪れていただきたいのですが、以下に少しだけネタバレレビューをしようと思います。
館内では初めの多目的エリアに高島の歴史を網羅した約15分の映像が用意されています。一つ目の展示室では「たかしまの歴史と文化」として考古系の資料や、遺跡からの出土品を中心に展示されています(写真2)。このエリアでは、令和7年度は「継体大王出生の地」がテーマの中心になっていますが、企画展や常設展という分け方をされていないそうで、令和8年度は大河ドラマ『豊臣兄弟!』にちなんで「戦国時代の高島」をテーマに展示される予定だそうです。

二つ目の展示室は「中江藤樹とその教え」をテーマとしたエリアとなっています(写真3)。中江藤樹は現在の高島市安曇川町上小川に生まれた江戸時代初期の儒学者です。『日本陽明学の祖』、『近江聖人』と称えられ、新しい一万円札の肖像となった渋沢栄一は中江藤樹の教えを深く尊敬し、その顕彰活動に尽力したことが知られています。

以前の施設では旧町村単位の資料を中心に展示されていたため、時代やテーマに偏りがあったように感じていましたが、リニューアルされたことにより、各時代を通して網羅的に資料が展示されるようになりました。以前の「きっとスタッフさんが手作りされたんだな」と人間味を感じる「見せ方」も個人的には好きですが、今風にスタイリッシュな「見せ方」をされています。高島の歴史を通史的に網羅できるようにパワーアップした印象です。
実は私は旧髙島町の出身で、実家から自転車で数分圏内に高島歴史民俗資料館がありました。まだ自分が将来歴史に関わる仕事に就くとは夢にも思わなかった小・中学生の頃に、学校行事で資料館の見学や学芸員さんに町内の遺跡を案内されたこと。高3になって大学で歴史を勉強してみたいとアポなしで進路相談に飛び込んだこと。大学生になって資料館に入りびたり、そこでできたご縁が次々と広がり歴史に関わる仕事を本格的に意識し始めたこと。身近に資料館があったことが今の自分につながっていると思います。
現在、資料館は建物も解体されて更地となってしまったため、その前を通ると少し物寂しく感じますが、育ててもらったご恩に、生まれ変わったミュージアムを応援していきたいと思います。ではみなさん、ぜひ中江藤樹・たかしまミュージアムを訪れてみてください!
アクセス:
【公共交通】JR湖西線安曇川駅から徒歩18分またはコミュニティバス船木線「藤樹記念館前」下車すぐ
【自家用車】無料駐車場あり(台数限りあり)
【開館時間】9:00~16:30
【休館日】月曜日
【入館料】一般(高校生以上):300円、中学生以下:無料
(調査課 小林裕季)
★★ お知らせ ★★
滋賀県立安土城考古博物館 第71回企画展「近江―道が織りなす物語―」
当協会が指定管理者として運営している滋賀県立安土城考古博物館では、2026年2月14日(土)~2026年4月5日(日)に、上記テーマで企画展を開催します。
近江(滋賀県の旧国名)は、奈良時代以降、都の置かれた畿内と隣り合う場所として重視され、「道の国」と呼ばれるほど交通網が発達しました。
古くは「唐橋」と呼ばれた瀬田橋や、織田信長が安土城築城を機に整備した街道など、今なお使われ続ける道もあります。人の行き交う道には、名物もつきもの。風光明媚な景色を描く「近江八景」の浮世絵や、茶の湯の流行にともなって作られた比良焼や臨湖焼といった雅趣に富む焼き物も、道を通じて広まりました。本展では、「この道を通ったのは誰か?」という視点から、県内の考古資料や絵画、古文書、工芸品を紹介します。
詳しくはコチラのサイトをご参照ください。お待ちしております!
