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新近江名所図会

新近江名所圖絵第425回 心字の池の沈み鳥居-甲賀市水口町大池寺

甲賀市

 大池寺は臨済宗妙心寺派の寺院です(写真1)。奈良時代に行基が、現在も寺の周囲にある4つの大きな溜め池「心字(しんじ)の池」をつくり、そこに本堂を建てたのが寺の始まりと伝えられています。

写真1 大池寺

 現在の寺は、駐車場から5分ほど歩くと正面に刈り込み垣に挟まれた参道が延び、その奥には山門と白壁の塀が目に入ってきます。山門をくぐると境内には本堂のほか、書院・茶室・庫裏などが建っています。本堂には甲賀市指定文化財の釈迦如来像が安置されています。

 大池寺は庭園が有名ですが、庭園は書院の東側にあります。蓬莱庭園(写真2)と呼ばれ、甲賀市指定の名称となっています。江戸時代に水ロ城を築いた小堀遠州の手によるものと伝わっており、四季それぞれに違った趣をみせてくれます。書院の背後に茶室があり、別の枯山水庭園が楽しめます。そして前庭には現代に作庭された回遊式琵琶湖庭園や心池庭という石庭も造られており、5月下旬から6月中旬にかけてはサツキ、秋は紅葉が楽しめます。

写真2 蓬莱庭園

◆おすすめPoint

 おすすめポイントは、大池寺に隣接した弁天池です。

 弁天池の中央に小島が浮かんでおり、祠があるようなのですが、その西側には通称「弁天池の沈み鳥居」(写真3)があります。名称の通り、鳥居の笠木と貫が水面に顔を出しているだけで、あとは水中に沈んでいます。なんとも不思議な光景です。

写真3 弁天池の沈み鳥居

 この弁天池には蓮が群生しており、シーズンの7月頃には花を見ることができ、一段と浮世離れした光景が広がります。しかし、どうしてこのような状況になっているのかは、よくわかっていません。

◆周辺のおすすめポイント

 周辺には、3代将軍徳川家光が上洛の際の宿館として築城された県指定史跡の水口城があります。堀にかかる御成(おなり)橋の改修工事が令和7年6月に完了しました。御成橋は明治時代に撤去されましたが、平成2年に復元されましたが木造橋のため床板の損傷が進み、令和3年10月から通行止めになっていました。しかし、ヒノキやスギを用いて約22mの橋が改修され、今なら木の香りを楽しみながら渡ることができます。

 また、平成29年に国の史跡指定された水口岡山城へも訪れてみてはいかがでしょうか。古城山と呼ばれる標高289mの独立丘陵に築造されており、四方の眺望がすばらしく、旧東海道を眼下に治めることができます。(写真4)

写真4 水口岡山城からの眺望

◆アクセス

大池寺

【自家用車】草津方面から国道1号西名坂の交差点を左折して5分 駐車場有

【公共交通機関】近江鉄道城南駅下車、徒歩20分

拝観料:大人400円、中学生300円、小学生200円

開館時間:9:00~17:00

(堀真人:ほりまさと 調査課)

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滋賀県立安土城考古博物館は2025年3月18日にリニューアルオープンしました! その概要は【コチラ】、詳しい内容は【滋賀県立安土城考古博物館公式ホームページ】をご覧ください!

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