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西の湖と安土山・観音寺山

新近江名所図会

新近江名所圖会 第127回 日本一の水郷の景観-近江八幡の水郷-

近江八幡市
(近江八幡市白王町・円山町ほか)
西の湖と安土山・観音寺山
西の湖と安土山・観音寺山

今回は、滋賀県立安土城考古博物館で11月23日(金・祝)から開かれる、『第45回企画展 暮らしが生んだ絶景-琵琶湖の文化的景観-』でとりあげる、近江八幡の水郷をご紹介したいと思います。滋賀県の近江八幡の水郷は、茨城県の潮来や福岡県の柳川とともに「日本の三大水郷」と呼ばれています。その中でも昔と変わらない自然のままの水郷は近江八幡だけで、日本一の景観と言われています。平成18年(2006)1月に国の重要文化的景観第一号に選ばれ、平成20年10年にラムサール条約湿地としてその一部である西の湖と長命寺川が登録されました。さらに、平成21年1月には「白王・円山」が日本の里100選に選ばれるなど、その貴重な水環境は国内外から高い関心を寄せられています。

屋形船とヨシの焼き払い
屋形船とヨシの焼き払い

琵琶湖で最大の内湖である西の湖(現在)は、琵琶湖八景で「春色 安土・八幡の水郷」とうたわれています。日本最大の水郷地帯の中で、水鳥が遊び、コイやフナなどが泳ぎ、まさに琵琶湖の生態系を支える自然の宝庫となっています。西の湖一体に広がるヨシの群生は「江州ヨシ」と呼ばれ、日除けのすだれや、お寺や神社のヨシ葺き屋根、夏に使う座敷の建具・衝立(ついたて)などに加工されています。毎年冬から春にかけて行われる、4メートルにも伸びたヨシを刈ったり、良いヨシを育てるためにヨシ地を焼き払ったりする作業は、水郷の早春の風物詩となっています。また、地元の人は、5月末から6月にかけて成長したヨシの葉を使ってちまきを作ります。近頃ではヨシを原料にした紙製品も、文具メーカーから販売されています。時代とともに加工される製品も変わりつつあります。

おすすめPoint

水郷めぐりの屋形船1
水郷めぐりの屋形船
水郷めぐりの屋形船2
水郷めぐりの屋形船

網目のように入りくんだ水郷のヨシ原の間をゆったりと屋形船で行く水郷めぐりがおすすめです。水郷めぐりの歴史は、古くは織田信長や豊臣秀次が戦国の世の疲れを癒すため、宮中の雅やかな遊びを真似たことが始まりだとか。狭い水路を抜けると前方に安土山が見えてきます。昔は内湖に囲まれて、湖に浮かぶ半島のように見えていたと言います。その大部分は干拓されて消滅しましたが、わずかに残る西の湖がその名残をとどめています。静かな水面に渡る風と、ヨシの影から聞こえるカイツブリやヨシキリのさえずりが、のどかな風情をかもしだしています。その豊かな自然を満喫して、心から穏やかになれるのではないでしょうか。また、花火船やお月見船なども期間限定で運行されていますよ。

周辺おすすめ情報

びわこよし笛ロード

びわこよし笛ロード
びわこよし笛ロード

琵琶湖南東部の近江八幡市・東近江市を縫って走る大規模自転車道です。総延長距離は26.2kmのカラフルなサイクリングロードで、のどかな風景を楽しみながら走るにはちょうどよい距離です。全体がほぼ平坦なコースで、田や畑・水郷・琵琶湖岸を縫うように通っていて、とても気持ちのよい空間を走り続けることができます。特に西の湖周辺の田園地帯や水郷地帯はおすすめです。

アクセス

円山町へのアクセス
【公共交通】近江八幡駅から近江鉄道バス長命寺行き「円山」下車
【自家用車】湖岸道路「渡会橋北詰」交差点を南に曲がってすぐ

より大きな地図で 新近江名所図会 第101回~ を表示
(河内敦子)

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