オススメの逸品
調査員のおすすめの逸品 No.82 クリーニンググッズ
博物館などで展示されている金属製遺物。来館者の皆さんには、「あっ、これは矢の先端につける矢じりだな」「これは剣だな」と遺物の用途が分かる形で見て頂いていますが、遺跡から出てきた時は、表面が土や錆などに覆われていて何かよく分からない形をしています。そこでクリーニングという作業を行い、土や錆などを取り除きます。今回紹介するのはそのクリーニングに使用する道具たちです。
No.1:歯ブラシ・筆
個人的にもっとも使いやすいものです。歯ブラシ・筆でブラッシングすることで、遺物表面の土砂が取れます。歯ブラシ・筆は購入時の状態のまま使用するのではなく、少し毛を切って短くすることで、毛の固さを調節して使っています。
No.2:ニッパー・カッター(メス)
歯ブラシや筆で落ちないような小石や頑固な泥の塊を落とす時に用います。ニッパーは小石をつまんで少し横にグラグラと動かして取り除き、カッターは泥の塊を切る、というように使っています。歯ブラシなどと違って遺物自体に傷がついてしまう可能性があるので、使用の際は気を付けます。
No.3:竹串・爪楊枝・針
歯ブラシで落ちない頑固な汚れ、かといってニッパーの刃が入らない…。そんな時に用います。細かい部分の汚れを落とすのにとても有効です。泥・砂に刺してほぐしてから取り除くという使い方をしています。
No.4:グラインダー・エアーブレイシブ
No.1~3の道具たちとは違い、ともに機械です。グラインダーは歯医者さんのドリルの小型版で、先端のアタッチメントがカッター・ドリルなど用途にあわせて変えることができます。エアーブレイシブは空気の圧力で酸化アルミニウムの粉を対象に吹き付け、表面を削り取る道具です。ともにとても強力な性能を持つ機械なので、すぐに土・錆などが落ちます。しかしながら、強力すぎて遺物表面を必要以上に削り取ってしまうことがあるので、細心の注意を払う使う必要があります。
以上の道具を私はクリーニングで使用していますが、もしかしたらもっと使いやすい道具があるかもしれません。そんな道具に巡り合えるまでは、この道具を使って保存処理を行っていく予定です。
(合澤 哲郎)