新近江名所図会
新近江名所圖会 第102回 土山の宿場町を訪ねて
三重県との県境に接する甲賀市土山町、「坂は照る照る鈴鹿は曇る、あいの土山雨が降る」の馬子歌が有名です。江戸時代に「土山宿」という宿場町が置かれていました。土山宿は、江戸・京都間を結ぶ東海道五十三次の49番目の宿場町であり、江戸から京都方面へ向かう旅人が箱根と並ぶ難所、鈴鹿峠を越えて最初に立ち寄る近江の宿場町として、またお伊勢参りへと向かう旅人でたいへん賑わっていたそうです。天保14年(1843)の記録によれば、2軒の本陣・脇本陣(参勤交代の大名などが宿泊や休憩をとった施設)と旅籠(旅館)44軒を含む、総数351軒の家々が立ち並んでいたと伝えられています。
現在も旧東海道沿いには松並木が残り、宿場に関連する施設(問屋場・旅籠・高札場など)を示す石柱が建てられていたり、家々に当時の商家の屋号(麹屋・油屋など)を記した看板がかけられたりしていて、宿場町の風情が残る町並みを散策することができます。
土山本陣跡
その中でも一番目をひく建物が、土山本陣跡です。この土山本陣跡は、寛永11年(1634)、江戸幕府3代将軍家光上洛の際に設置され、宿場制度が廃止されるまでの240年間営業を続けていました。現在でも、大名が宿泊した部屋や庭園が残されています。
東海道伝馬館
また、同じ通りにある資料館「東海道伝馬館」では、土山宿の街道模型や映像資料、問屋場(といやば、荷物の仲介や客の宿泊の世話をした施設)の様子を再現したコーナーなどが展示されていて、当時の様子を知ることができます。
おすすめPoint
国道1号線沿いの静かな森の中にある田村神社は、坂上田村麻呂・倭姫命(やまとひめのみこと)・嵯峨天皇の三神を祀る古社で、創建は平安時代の弘仁3年(812)といわれています。
毎年2月に行われる厄除けの大祭は、「坂上田村麻呂が鈴鹿参道の悪鬼を退治したあと、悪鬼のたたりで作物が実らなくなり、病も流行したので、厄除けの大祭を行ったところ災いが収まった。」という伝承を起源とするもので、多くの人が訪れるそうです。また、田村神社のすぐ近くを流れる田村川へは自由に降りられるようになっていて、雄大な自然の景色を楽しむことができます。
周辺のおすすめ情報
この地域に残る大蟹退治の伝説にちなんで江戸時代から売られているのが、厄よけの飴として有名な「蟹が坂飴」です。形は円盤状で、蟹の甲羅を模したといわれています。麦芽糖とみずあめを原料としていて、なつかしい味がします。
もっと詳しく知りたい人には土山歴史民俗資料館もオススメです。土山町の歴史の特色である「道」を中心に、その歴史と人々の生活について紹介されています。
入館料:無料 休館日:月・火・12/29~1/3
アクセス
【公共交通】JR貴生川駅よりあいくるバス土山本線「近江土山」もしくは「田村神社」(道の駅あいの土山)下車
【自動車】新名神高速道路 甲賀土山ICより5分
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(田中咲子)
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