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新近江名所図会

新近江名所圖会 第1回 桐畑古墳(熊ケ谷1号墳)

大津市
大津市滋賀里町熊ヶ谷

桐畑古墳
琵琶湖の西側、比叡山の東麓一帯には総数が1,000基ともいわれる古墳があります。これらの古墳群は、石室の形や出土している特殊な副葬品などから渡来人のお墓といわれています。
その一つに通称、桐畑古墳(熊ヶ谷1号墳)があります。10基が確認されている熊ヶ谷古墳群中の1基です。桐畑古墳は、古墳群内で最も規模の大きな石室を持ち、玄室の長さ5m、幅3.1m、高さ3.6m以上、羨道が長さ6m、幅1.4m、高さ1.6mを測ります。玄室の天井石はありませんが、玄室の中央に立って上を見上げると、四壁(奥壁・左右側壁・前壁)が天井部に向かってすぼまっている様子がわかります。このように四壁を天井に向かってすぼませる構造を持ち送り構造といいます。この持ち送り構造を持ち、天井を1~2石で構成する形態がみられるのが、この比叡山東麓に広がる古墳群の石室の特徴です。また、玄室の奥にはお不動さんが祀ってあり、現在でも信仰の対象となっています。

おすすめPoint

名所001
桐畑古墳のおすすめPointは、開口している大型石室もさることながら、古墳が造られている場所からみえる景色です。眼下には琵琶湖の南湖が広がり、正面にはきれいな稜線をみせる野洲の近江富士(三上山)がみえます。空気の澄んだ秋から冬にかけての天気の良い日には、湖水の青色と空の青色が織りなす景色が眼前に180°広がる、何ともいえぬ光景です。この景色に魅かれて、ここにお墓を作ったのだと言われたら、誰もが納得してしまうようなすばらしい風景です。

周辺のおすすめ情報

京阪石坂線滋賀里駅からの道すがら大津市埋蔵文化財調査センター(土日祝休)に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。開館日であれば大津市内から出土した遺物を展示しているので見てみるのも楽しいです。また、大同センターから山手に延びる旧山中越え(志賀越え)沿いに歩いていけば、百穴古墳群や志賀の大仏、崇福寺をみることができます。ただし、周辺の道は非常に狭く、駐車場もないので公共交通機関を利用することをお勧めします。また、トイレやお店もないので準備をおこたりなく。

アクセス

京阪石坂線滋賀里駅から徒歩15分 現在の崇福寺境内

より大きな地図で 新近江名所図絵 第1回~第50回 を表示

(堀 真人)

参考資料
森下ほか「湖西地域南部における構造と系譜(上)」『古代学研究』113 古代学研究会 1986
森下ほか「湖西地域南部における構造と系譜(下)」『古代学研究』114 古代学研究会 1987

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