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アカガシ

新近江名所図会

新近江名所圖会 第110回 神が宿る木-黒田のアカガシ- 

長浜市
長浜市木之本町

アカガシアカガシ
昔から巨木・老木には神が宿るとされていますが、全国には御神木とあがめられる大木が点在しています。滋賀県の北部、長浜市木之本町黒田地区の大沢集落にも「黒田のアカガシ」と呼ばれる古木が鎮座していて、地元住民により篤く保護されてきました。この木は、幹の周りが6.9m、樹高が15.0mを測り、樹齢はおよそ300年から400年と推定されています。その雄姿は、木の根元近くから数本の幹が枝分かれして、それぞれの幹が手のひらのように空に向かって枝葉を広げているものです。
アカガシはブナ科コナラ属の常緑広葉樹で、気候が比較的温暖な西日本に分布します。樹皮は黒味を帯びた灰褐色で、葉は互生(茎の節に1枚の葉が互い違いに付く)して光沢があります。秋にはドングリの実をつけます。アカガシは他の木に比べて木質組織が緻密で堅いことから、鉄製品が使用される前の弥生時代以前より、主に農耕具の材料として利用されてきた有用樹種です。しかしながら、現在ではその多くが伐採されてしまい、大木は今回紹介する「黒田のアカガシ」のように保護されているものが残っている程度です。
「黒田のアカガシ」は滋賀県指定自然記念物です。この木は、滋賀県が木材研究者や林業研究者の協力を得て1987年に発行した『滋賀銘木誌』や、読売新聞社が1989年に刊行した『新日本名木100選』に登場したのがきっかけで、全国的に知られる存在となりました。
「黒田のアカガシ」が大沢集落の人々の手で保護されているあかしとして、大木の根元には注連縄が張られています。また、野神として祀られていて、毎年8月には祭典が営まれています。このアカガシは曹洞宗天正寺の裏山にあるのですが、大沢地区にある道案内の標識に沿って歩くとたどり着くことができます。なお、周りにはシシ垣を兼ねた金網の柵が設置されているので、中に入る場合には地元の人に一声かけましょう。

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(中川正人)

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