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阿自岐神社庭園

新近江名所図会

新近江名所圖会 第128回 水源を飾る庭-阿自岐神社庭園-

豊郷町
(犬上郡豊郷町安食西)

今回で第128回を数える新近江名所図絵。にもかかわらず、豊郷町が登場するのは今回が初めて。豊郷町民の方々、お待たせいたしました。豊郷町といえば「けいおん」の舞台として有名になった豊郷小学校が注目の的となっていますが、今回は、そこから北西へ500m程離れたところにある阿自岐神社が舞台です。所在地は安食(あじき)。私は小豆が大嫌いです。小豆を見るだけで鳥肌が立ちます。私にとって、とても不吉な地名が「あじき」。「あずき」につうじることから目を背けたくなる地名です。ですから、今まで避けて通っていました。

阿自岐神社庭園
阿自岐神社庭園

けれども、行ってビックリ、見てビックリ。国道8号線安食西の交差点を東に折れると、左手になにやらありがたそうな林が見えてきます。よく見ると、林はきれいな池を取り囲むように繁っていて、更にその西端付近には立派な神社が建っています。これが阿自岐神社です。社殿は滋賀県指定文化財であるとか。
さて、このきれいな池と林の正体ですが、滋賀県でも最古級のお庭「阿自岐神社庭園」なのです。私を恐怖に陥れる「あずき」まちがい「あじき」とは、「味耜高彦根(あじすきたかひこねのかみ)」という農業の神様を祭る、百済からの渡来人であるアジキ氏に由来するといわれています。アジキ氏は、周辺の荒れ地を水田に変えるため、ここに水源を掘り当てました。まさに命の泉が湧き出たのです。そこでアジキ氏はこの池を「神池」として綺麗に整備しました。その結果、この池とその周りがお庭となり、今に伝えられることとなったのです。ありがたいことです。

おすすめポイント

庭園の石橋
庭園の石橋
杉と石碑
杉と石碑

広い池に島を点々と浮かべたこのお庭は「池泉多島式庭園」という難しい名前が付けられていますが、本当に水の神様がいらっしゃるのではないかと思うほど、静かで厳かな感じのするお庭です。島は意匠を凝らした石橋で結ばれており、自由に散策することができます。杉の巨木が生えた島には「千町田を養う 神の泉かな」と刻まれた石碑がひっそりと建っています。このお庭の性格をよく表していますね。滋賀県の名勝に指定されています。
車が横付けできて、拝観料の要らないという意味でも、とてもありがたい神社とお庭です。お参りすれば御利益間違いなし。

周辺のおすすめ情報

蔵元 藤井本家

藤井本家酒蔵の杉玉
藤井本家酒蔵の杉玉

江戸時代から続く、滋賀県内有数の古い蔵元です。毎年天皇家で行われる新嘗祭に使われる「白酒」を謹醸造している酒元としても知られています。お店はケヤキをふんだんに使った重厚な造り。一見の価値があります。季節によっては蔵の中も見学させていただけることもありますので、事前にお問い合わせ下さい。お酒の試飲もあります(車を運転される方は参加できません)。

アクセス

【公共交通】近江鉄道本線豊郷駅下車、徒歩で旧中山道を北へ約15分
【自家用車】JR琵琶湖線河瀬駅下車、南へ徒歩15分


より大きな地図で 新近江名所図会 第101回~ を表示
(大平悦子)

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