記事を探す
鶏鳴の滝

新近江名所図会

新近江名所圖会 第154回 酷暑におススメのパワースポット―鶏鳴(けいめい)の滝―

甲賀市
(甲賀市信楽町神山)
鶏鳴の滝
鶏鳴の滝

暑い日には水辺に行くと少しは過ごしやすくなります。とりわけ滝のそばはひんやり涼しくて、とても気持ちの良いものです。また滝には独特のパワーがあるらしく、冬場でさえ滝を訪れると、寒いけど何というか心地良く元気になります。

国道422号を甲賀市信楽町から伊賀方面へ向かう途中、神山(こうやま)の交差点で右折して大戸川沿いに県道多羅尾神山線を多羅尾方面へ進み、大戸川に神有川が合流する三叉路で左折して神有川に沿って遡ると、見事な滝にたどり着きます。これが鶏鳴の滝です。
県道多羅尾神山線はとても狭いので、車での離合が難しい所がありますが、三叉路からはさらに狭くなります。普通車なら滝のすぐ近くまで行けますが、小型バスなどでは入れません。歩きやすい道なので、神有川の渓流を眺めながら、散策がてら行くのも良いと思います。三叉路から、歩いて10分ほどでたどり着くことができます。川の所々の落差に「初音の滝」「白神の滝」など細かく名前が付いていて、信楽焼の狸の置物が看板代わりに立っています。

おすすめポイント

2月頃は氷柱がさがる
2月頃は氷柱がさがる

鶏鳴の滝は高さ13m・幅11mの堂々たる滝で、しぶきが凍ってつららが下がるような冬場でもかなりの水量があります。鶏鳴の滝という呼称は、この滝の東方にそびえる信楽の最高峰、笹ヶ岳(標高738.8m)山頂付近にある古い寺跡の閼伽池から、元旦の朝に黄金の鶏が現れて新年の幸を告げるという伝説にちなんでいます。その寺跡は、薬師如来を本尊としていて、仏様にお供えする水を汲んだという石積みの古井戸が今も水をたたえています。大正期頃までは、日照りが続いて田んぼの水が不足すると、この山の上で火を焚き、この井戸をかきまわして雨乞いをした、という話もあります。神有川添いの道を遡りながら前方を仰ぐと、時折木々の間から笹ヶ岳の山頂付近がきれいな形を見せ、この山が信仰の対象であることが感じられます。
鶏鳴の滝の脇にはお不動さんの石像があり、滝の上方にも小さな祠があってお不動さんが祀られています。滝壺付近はとても水しぶきがかかります。夏は気持ち良いですが、冬は凍りついていて滑るので、十分気を付けてください。

滝横のお不動さん
滝横のお不動さん

周辺のおすすめ情報

笹ヶ岳

鶏鳴八滝案内図
鶏鳴八滝案内図

滝壺手前にある「鶏鳴八滝」の看板には、この谷筋にある滝の位置を示したごく簡単な地図があります。それによると、この滝の上流にもいくつか滝があって、さらに登っていくと笹ヶ岳山頂に行けるようです。しかし、かなり急峻なため、私はここから登ったことはなく、あまりおすすめはできません。笹ヶ岳山頂へ登るには、神山の交差点からもう少し伊賀方面へ進んだところにある南新田のバス停から、さらに、少し東へ行ったところにある登り口の方が、安全で登りやすいです。気軽に登れる山なので、気候の良い時期に登ってみるのもよいでしょう。笹ユリの自生地ですから、6月ころには花が見られるのでしょう。山頂では大きな信楽焼の狸が出迎えてくれ、ここからの見晴らしはなかなかのものです。頂上から南にやや下がりつつ進むと、三重県側を見晴らせる絶景ポイントもあります。

笹ヶ岳がみえる
笹ヶ岳がみえる

神山神社

神山神社境内
神山神社境内

鶏鳴の滝から国道422号へ戻る途中にあります。笹ヶ岳を元宮とし、その神籬(ひもろぎ:神様の拠り所)として東方に山頂を仰ぐ場所につくられたお社だそうです。祭神は素盞鳴命(すさのおのみこと)、本殿は三間社流造の落ち着いた雰囲気の神社です。笹ヶ岳に登れなくても、ここにお参りすると山への思いは届くのでしょう。

小川城跡

信楽町小川にある大規模な中世の山城で、多羅尾氏の城とみられています。標高約470mの山頂付近にある曲輪からは、甲賀郡中惣(中世に甲賀郡内を治めるために作られた土豪たちの自治組織)の中心がある北東方面はもとより、京都の和束方面へのルートや多羅尾氏の本拠地・多羅尾を経て伊賀に至る街道をも見下ろせ、交通の要衝を押さえた城です。よく整備されていて、曲輪の状況などがわかりやすくなっています(滋賀県指定史跡)。

アクセス

【自家用車】新名神高速道路信楽ICから国道307号を南下、約30分、駐車場あり(普通車8台)
【公共交通】信楽高原鐵道信楽駅から、コミュニティタクシー利用で20分(1人250円、要予約:℡0748-82-1181)

より大きな地図で 新近江名所図絵 第151回~ を表示
(小竹志織)

Page Top