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雪野寺塔跡

新近江名所図会

新近江名所圖会 第155回 滋賀県最古級の前方後円墳-雪野山古墳-

東近江市
(東近江市上羽田町・蒲生郡竜王町河守)
雪野寺塔跡
雪野寺塔跡

雪野山古墳は平成元年(1989)に未盗掘の状態で発見された前方後円墳です。東に東近江市域、北には遠く近江八幡市域、西には竜王町域が一望できる標高308.8mの雪野山の頂上に築かれ、滋賀県にある前方後円墳のなかでも史跡の安土瓢簟山古墳とともに最古期に属す古墳です。その年代は研究者によって多少の差はありますが、雪野山古墳が4世紀前半、安土瓢簟山古墳が4世紀後半と推定されています。
雪野山古墳がある雪野山に登るには、いくつかルートがありますが、私が登ったのは竜王町側のルートです。雪野山の竜王町側の麓には、滋賀県指定史跡の雪野寺跡があります。雪野寺は、寺域内から見つかった瓦から、7世紀後半頃に創建されたと考えられています。現在、この雪野寺跡には竜王寺というお寺が建っていて、本堂の背後では発掘調査により雪野寺の塔跡などが確認されています(第69回参照)。
この雪野寺塔跡を左に見て、いよいよ山道を登り始めます。山道を歩き始めてすぐに、天神山古墳(現竜王寺東支群)の横穴式石室が目に入ります。私が登った時には、草刈がきれいにされていて、これらの古墳の形がよくわかりました。しばらく歩くと階段が現れます。それが山頂まで続き、途中何回か休憩を入れながら雪野山古墳を目指します。

おすすめPoint

雪野山古墳後円部より前方部を見る
雪野山古墳後円部より前方部を見る

雪野山古墳は全長70m、後円部径40m・高さ4.5m、前方部長30m・高さ2.5mを測ります。前方部が北に向いていて、竜王町側から登って山頂にたどり着くと、まず後円部に出てきます。主体部があるのが、この後円部のやや東寄りの場所です。北向きの竪穴式石室があり、その西にもう1つ埋葬主体部が確認されています。竪穴式石室には舟形木棺が置かれ、この木棺の内外からは、銅鏡・鉄剣・鉄刀など数々の副葬品が出土しました。未盗掘で発見された当初は、さぞにぎわったのだろうと想像されます。今はひっそりとした山頂に到着して後円部に立つと、かつてのこの一帯を支配した王を偲ぶことができます。

周辺のおすすめ情報

八幡社46号墳
八幡社46号墳

帰りは来た道を帰って竜王町の「妹背の里」の資料館で雪野寺関係の出土遺物レプリカを見るという選択肢のほかに、東近江市側へ下りる道があります。この東近江市側の麓には八幡社古墳群(県指定史跡)があり、46号墳の3つの横穴式石室は中を覗くことができます(滋賀県立安土城考古博物館展示室の横穴式石室の模型は、46号墳を参考に制作されています)。ほぼ半日かけると雪野山周辺にある古墳を堪能することができます(第19回参照)。

アクセス

【公共交通機関】JR琵琶湖線近江八幡駅下車、コミュニティバス八幡竜王線で約20分、川守バス停下車
【自家用車】名神高速竜王ICから約5分

より大きな地図で 新近江名所図絵 第151回~ を表示

(大槻暢子)

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