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八幡堀

新近江名所図会

新近江名所圖会 第174回 八幡掘とその界隈

近江八幡市
八幡堀
八幡堀

第53回「秀次の夢の跡―八幡山城―」で少しふれましたが、八幡堀は天正13年(1585年)に豊臣秀吉の甥の豊臣秀次によって築かれた八幡山城の内堀です。開削当初から両側が琵琶湖とつながり、外的の侵入から城を守るためというよりも、物資を輸送するための運河としての役割をもっていました。城が廃された後も、八幡商人の商いや産業に欠かせない運河として近代まで利用され続けました。
今回は、日牟禮八幡宮(ひむれはちまんぐう)の近くの白雲橋(はくうんばし)付近から南側の中川橋付近まで歩き、近世以降の近江八幡の人々の足跡を訪ねて来ましたので、ご紹介します。
現在の八幡堀では、堀の石垣や浜と呼ばれる船着き場などが復元され、堀沿いに遊歩道や休憩所も作られているので、ゆっくりと散策することができます。また、今回歩いた部分は、エンジン船による「八幡堀めぐり」でも訪ねることができます。

おすすめPoint

ホフマン窯
ホフマン窯

かわらミュージアムは、白雲橋から北側に歩いて3分のところにあります。江戸時代以降、八幡堀沿いに多く操業していた瓦工房で作られた八幡瓦や道具などを展示しています。各瓦工房では、瓦の原料となる土、燃料となる割木や、できあがった瓦を運ぶために、八幡堀を利用していました。
旧中川煉瓦製造所ホフマン窯は、白雲橋から南側に八幡堀沿いに歩いて30分の、中川橋の近くにあります。高さ33mの煙突が目印の煉瓦造の窯です。この窯では、大正9年(1920)前後から、昭和42年(1967)まで煉瓦を焼成していました。ホフマン窯とは,19世紀にドイツ人技師のフリードリッヒ・ホフマンが考案した煉瓦窯です。現在の日本では5基ほどしか残っておらず、平成17年に国の有形登録文化財となりました。ここでも、瓦生産と同様に材料や燃料の運搬、製品の運びだしに八幡堀が利用されています。

周辺のおすすめ情報

でっち羊羹
でっち羊羹

白雲館は、明治10年(1877)に八幡東小学校の学舎として建てられた建物です。現在は、近江八幡市内の観光案内や特産品の販売も行っています。
私はここで、「でっち羊羹」を買ってみました。あっさりとした素朴な味で、子供たちにも大好評です。その製造方法は簡単で、小豆を砂糖で煮て、小麦粉と練り混ぜたものを、竹の皮で包んで蒸して作ります。昔は子供のおやつなどに家庭で作られ、丁稚(でっち)が奉公先への土産に持っていったといわれています。近江八幡市内には、江戸時代に創業した、でっち羊羹を作っている和菓子屋が三件あるとのことです。(田中咲子)

アクセス

◎八幡堀(白雲橋付近→かわらミュージアム・白雲館・八幡堀めぐり)

【公共交通機関】JR琵琶湖線近江八幡駅下車、近江鉄道バス「大杉町」下車
【自家用車】名神高速道路竜王ICから約30分(市営駐車場等をご利用ください。)

★近江八幡市立かわらミュージアム

かわらミュージアム
かわらミュージアム

・入館時間 午前9時~午後4時30分(閉館時間:午後5時)
・休館日 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日)、祝日の翌日、年末年始
・入館料 大人300円、小中学生200円
・電話番号 0748-33-8567

★白雲館

白雲館
白雲館

・営業時間 午前9時~午後5時
・定休日 年末年始
・電話番号 0748-32-7003

★八幡堀めぐり
・営業時間:午前10時~午後4時(冬は午後3時まで)
・料金:大人1,000円(こども500円:小学生未満無料)
・電話番号:0748-33-5020(12月~3月は、前日までに電話予約)
・コース:「乗船場(かわらミュージアム)→新町浜→ホフマン窯」の往復
・所要時間:約35分

◎旧中川煉瓦製造所ホフマン窯

※白雲橋からは、徒歩約30分
【公共交通機関】JR琵琶湖線近江八幡駅下車、湖北バス「小姓谷」下車

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