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新近江名所図会

新近江名所圖会 第19回 八幡社古墳群-蒲生野の古墳群-

東近江市
東近江市中羽田
古墳群全景
古墳群全景

「茜さす紫野ゆき標野ゆき野守は見ずや君が袖ふる」
万葉を彩る額田王のこの詩は大海人皇子との蒲生野を舞台とした万葉集を代表する恋の詩としてあまりにも有名です。
舞台となった蒲生野は現在の東近江市西部から近江八幡市にかけての地域と考えられ、周囲を標高約200~400の山々に囲まれています。西南には雪野山、北西には船岡山や箕作山・太郎坊山などがあります。
また、雪野山の山頂付近には蒲生野を見渡すように3世紀末から4世紀前葉頃に作られた、全長70m程度の前方後円墳である雪野山古墳があります。この蒲生野を取り巻く山々には、古墳時代後期頃になると群集墳が築かれ、特に雪野山には多くの古墳が築かれています。そうした古墳群の一つが八幡社古墳群です。
古墳群は緩く開けた谷上に6世紀中頃から7世紀初頭にかけての17基の古墳が2~3基ずつのまとまりを持って直線的に分布しています。46号墳を除き、全て墳丘径が約6~15m程度の円墳で構成されています。昭和58年に県史跡に指定されました。

おすすめPoint

46号墳は整備された古墳群の中でも、唯一の前方後円墳です。時期的には県下で最も新しい前方後円墳で、規模は全長が約24mと小型で、古墳群の中でも比較的標高の低い位置にあります。石室は3ヶ所あり、後円部に全長約7.2mの両袖式の、前方部に珍しい全長約6.4mで副室を持つL字形の片袖式の、 くびれ部に全長約5.5mの片袖式の横穴式石室の主体部があることが、大きな特徴となっています。
石室は後円部、前方部、くびれ部の順に造られたと考えられています。現在、前方部以外の石室は、外から中を見ることができます。

46号墳
46号墳
後円部石室
後円部石室

周辺のおすすめ情報

整備された八幡社古墳群は、雪野山歴史公園の一画にあり、古墳群の見学だけではなく、山々の季節の移り変わりを感じながら、公園の散策など楽しむことができます。
山頂付近にある三角縁神獣鏡が出土した雪野山古墳は、現在、埋め戻され、石室などの姿を見ることはできませんが、山頂まではハイキングコースが整備されています。さらに、山頂から竜王町の妹背の里や龍王寺に下りるコースも整備されています。
また、南東約1.5kmには、5世紀代に造営された木村古墳群があり、整備復元された天乞山古墳や久保田山古墳を見ることができ、雪野山周辺では、古墳と自然を堪能することができます。

アクセス

【公共交通機関】JR琵琶湖線近江八幡駅南口から近江鉄道バス長峰集会所行きもしくは北畑口行きで上羽田西下車徒歩約20分
【自家用車】名神高速道路竜王ICから約15分、駐車場あり


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(中村 健二)

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