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新近江名所図会

新近江名所圖会 第40回 北近江を散策する-丸子船の館-

長浜市
長浜市西浅井町大浦
大浦の湖岸から葛籠尾崎を望む
大浦の湖岸から葛籠尾崎を望む

かつては湖上交通の船や漁船でにぎわったという大浦は、いまは静かな港です。港や葛籠尾崎半島を望む湖岸には、ベンチや散策できるようなところもあり、渺々たる琵琶湖をのんびり満喫できるところです。

◆北淡海 丸子船の館

展示されている丸子船
展示されている丸子船

琵琶湖の最北、西浅井は古くから北陸と京都・大阪をつなぐ交通の要衝の地でした。
大浦・菅浦・塩津浜の三つの港を有し、陸上と湖上運輸の中継地でもありました。その湖上水運の主役を務めたのが丸子船です。丸太を二つ割りにして船体の胴の両側に付けた琵琶湖独自の帆船が丸子船です。
「北淡海・丸子船の館」は湖上運輸の主役として活躍した丸子船をメインテーマに、旧西浅井町の歴史や古人の生活文化にふれることが出来る資料館です。現存する貴重な丸子船そのものの展示を中心に、船体備品や航海・荷造作業用の備品から生活用具、琵琶湖水運に関する文書など、貴重な資料の数々が展示されています。
館の1階に展示された丸子船は2階吹き抜けからも見下ろせ、船を様々な角度から楽しむことができます。またジオラマで再現された明治期の大浦港の様子など、湖上交通の賑わいをわかりやすく展示してあります。
隣接する古い建物は、元は明治32年築造の豪商屋敷で、今は『大浦ふるさと資料館』として公開しており、郷土の歴史を身近に感じられる空間となっています。丸子船の館の2階から入るようになっており、2階には昔使われた民具が展示され、建物内部の様子とともに見学できます。館を訪れると、係員の方が親切に丸子船とその歴史・文化について解説してくれます。係員の方は地元・大浦や塩津に住んでおられる方2~3人が交代で当番に入っておられるので、地域の細かな情報に精通して、近くの観音様のことやお土産品・食事処などもここで聞いてみるのもよいでしょう。
1階受付前の販売コーナーには地元西浅井の特産品や丸子船の館オリジナルグッズもあります。
丸子船は現在2隻残っており、その内の1隻がこの丸子船の館に展示され、もう1隻は数年前までは大浦港に野外展示されていたのですが、今は国道8号線の道の駅『水の駅』の一角に野外展示されています。

おすすめPoint

『北湖』
『北湖』
『湖宝』
『湖宝』
『丸子船煎餅』
『丸子船煎餅』

やはり、おすすめは周辺のおみやげに味どころです。
大浦には最中(もなか)が評判の和菓子屋が二軒あります。勝進堂と磯井商店というお店です。しっかりしたつぶあんの昔ながらのもなかはどちらも甲乙付け難いおいしさです。
特にどちらもネーミングが素敵で、勝進堂さんのは『湖宝』、磯井商店さんのは『北湖』。いずれも琵琶湖北岸の地にふさわしい名前で、最中マニアなら絶対に要チェックです。
それから、大浦にはピーナツ煎餅一筋の煎餅屋『みつとし本舗』もあります。これも小麦粉、卵、砂糖、落花生と昔ながらの素朴な煎餅ですが『丸子船煎餅』と名付けられ、さくさくと軽い食感でついつい手が伸びてしまいます。
当時の茶店は、茶の他に団子、餅などのすぐに食べられる簡単なものしか出さず、人通りがある、昼間のみの営業だったようです。
こうした地元の名物は、直接その店まで行かなくても、R8号線の『水の駅』でも取り扱っているものもあります。
このあたりは食事処が数少ないのですが、仕出しや宴会までできるようなお店が資料館から湖の側に行ったところにあります。お昼ご飯の定食なども意外とリーズナブルな値段でおいしいです。ビワマスなどの北湖ならではの新鮮な湖の幸だけでなく日本海にも近いので海の幸も結構よいものが食べられます。

周辺のおすすめ情報

◇十一面腹帯観音菩薩

平安初期、最澄が榧の一木を一本のノミで刻まれたと伝えられ、高さ1.6m、頭に笑い顔、怒り顔など十一面の菩薩が刻まれています。立派な頭飾りの赤色の玉は日光菩薩、白色の玉は月光菩薩を表します。
腰回りがガッチリして、お腹が少しふくらんでおり、観音様のお腹に巻いた帯をいただき、その帯を妊婦に巻くと安産出来ることから全国より腹帯の申し込みがあり、皇室にも腹帯を献納しているそうです。
元亀元年、姉川合戦で織田信長の寺院排除により、八幡宮奥の院の観音寺が焼き払われた際に、寺院境内の蓮池に観音像を投げ入れ、難を逃れたと言われます。
それからおよそ88年の後、寛永二年、八幡宮の神職が蓮池の底、泥の中から掘り出したと伝えられます。以来、八幡宮の社内に安置、明治維新のときには馬場山麓の現在地に移され、昭和初期、その裏山が崩れ、昭和六年に再建されました。
(無住職のため、内部の拝観・腹帯授受を希望の場合は事前申し込みが必要。)

アクセス

◆北淡海・丸子船の館
【公共交通機関】JR湖西線 永原駅下車 徒歩15分
【自家用車】北陸自動車道木之本ICから車で約15分、駐車場あり
休館日:火曜
開館時間:4/1~10/31;9:00~17:00
11/1~3/31;10:00~16:00
◆腹帯観音さま
『丸子船の館』の道を挟んで斜め向かい側、館から徒歩1分
※探訪コース例  永原駅 → 丸子船の館 → 腹帯観音さん → よろずや・和菓子屋 → 昼ご飯 → ピーナツ煎餅屋さんをのぞく → 湖岸でくつろぐ → 永原駅
◎丸子船の館は話好きの係員の方としゃべっていたら時間がなくなります。バス・電車の本数は少ないので事前に確認しておいた方がよいでしょう。
◎ピーナツ煎餅はよろずやでも売ってるかも。お店を訪ねると焼きたてが分けてもらえるかもしれません。


より大きな地図で 新近江名所図絵 第1回~第50回 を表示

(小竹 志織)

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