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新近江名所図会

新近江名所圖会 第5回 小野神社

大津市
大津市小野
小野神社
小野神社

6月16日は『嘉祥(かしょう)の祝(いわい)』の日です。
疫病が蔓延し多くの人々が病に倒れた848年(承和15年)、時の仁明天皇は、豊後の国(大分県)から白い亀が献上されたことを吉兆として、6月16日に神前に菓子や餅を供え、疫病退散を祈願して、元号を『嘉祥』と改めました。そうすると、たちまち疫病がおさまったことから、この日に健康と招福を願い、菓子を食べる風習が生まれました。江戸時代には幕府も盛大な賀儀を行い、民間でも銭16文で16個の菓子を求めて食べる風習が広まり、年中行事となりました。この謂われから、現在はこの日を『和菓子の日』とし、和菓子業界ではもっと和菓子を食べてもらおうと、この風習を広めようとしています。
「和菓子」といえば、大津市北郊にある小野神社は餅と菓子の神社として知られます。
小野神社はその名のとおり、遣隋使として有名な小野妹子や書道や学問の神とされる小野道風など、小野一族ゆかりの神社です。祭神の米餅搗大使主命(たかねつきおほおみのみこと)は小野妹子の祖先で、孝昭天皇の第一皇子である天足彦国押人命(あまたらしひこくにおしひとのみこと)の七代目の孫にあたります。応神天皇の頃に初めて餅つきをしたと伝えられ、菓子作りの神様として崇められています。

静粛な境内
静粛な境内

毎年10月20日には全国から菓子業者の代表が集まり、小野神社奉賛会しとぎ祭が行われます。また11月2日の本祭では、約1,200前から伝わる祭礼が地元の氏子らによって古式にのっとり行われます。代々、しきたりで決まった役の「小野十二人衆」という人たちが、水に浸した餅米を生のままつき固めた「しとぎ餅」を造り、神様に供え、五穀豊穣を祈願します。
また、この神社境内には、『令義解(りょうのぎげ)』(718年に発令された養老令の官撰注釈書)の撰修に参画した小野篁(たかむら)を祀る小野篁神社や、平安時代の能書家、三蹟として有名な小野道風を祀る小野道風神社があります。社殿はいずれも国の重要文化財に指定されています。

おすすめPoint

実際におとづれると、杜の木々が茂る中、静かなしっとりとした趣のたたずまいの社です。鳥居の手前わきには神田があり、 本殿前の両脇の石造物が重ねた餅をかたどっているのは、餅の神様ならではでしょう。他では見たことがありません。熱心にお 参りする方もお見かけします。菓子業界関係の方かもしれません。
また境内には小野氏の系図の看板もあり、ここが渡来系の小野氏ゆかりの地であることを感じさせてくれます。

餅形石造物
餅形石造物
境内にある神田
境内にある神田

周辺のおすすめ情報

この周辺には小野氏にまつわる古蹟が多く、小野妹子の墓との伝承のある唐臼山古墳、小野妹子神社なども見どころの一つです。

アクセス

【電車】JR湖西線和邇駅下車徒歩20分
【車】 湖西道路和邇ICから10分 国道161号今宿交差点左折 駐車場あり


より大きな地図で 新近江名所図絵 第1回~第50回 を表示

(小竹 志織)

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