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新近江名所図会

新近江名所圖会 第9回 琵琶湖文化館-とんぼの館-

大津市
大津市打出浜2-1
あきつ君が羽を休める文化館
あきつ君が羽を休める文化館

近江の名所として私がお勧めするのは、琵琶湖の南端、におの浜に浮かぶ滋賀県立琵琶湖文化館です。
文化館の前身は、戦後まもなくの1948年に設けられた「県立産業文化館」です。滋賀県庁西隣りの武徳殿(昭和12年建設の和風鉄筋コンクリート造の武道場)を改装し、「本県の産業文化の殿堂たらしめん」ことを目的に、本県で最初の県立博物館として創設されました。その後、1960年大津市上平蔵町(現在の打出浜)地先に観光文化館の建設が起工され、翌1961年3月20日に博物館・美術館・水族館・植物園等を備えた総合博物館として正式に開館しました。
それから半世紀。今年度は設立50周年のアニバーサリー!この節目に新名所として紹介できることを光栄に思います。とはいえご存じのとおり、県財政の悪化などが響き、現在は休館しており、実際の内部は見学できません。それでもご案内するのは、「新名所」と呼ぶにふさわしい、輝きを未だ保っているからです。

おすすめPoint

文化館のマスコットは謎の昆虫人間「あきつ君」。館の頂上に「あきつあかね」(トンボ)のモニュメントが置かれていることに由来します。
そんな当館で、いま一番輝いているのはホームページ――その名も「浮城(うきしろ)」かも。そこでは「あきつ君」が、盛りだくさんの情報を一生懸命発信してくれています。おかげで、ご覧のパソコン画面から居ながらにして選りすぐりの近江の美術が一部ご覧いただけます(仏像9・書画8・工芸5)。
紹介されている館蔵品の中には、大河ドラマ「龍馬伝」で武田鉄矢さん演じる勝海舟の墨跡(「絹本墨書勝海舟書籍」)もありますよ。現代日本に必要な姿勢を改めて教えてくれる漢詩かもしれません。是非ご覧ください。
特にお勧めなのは「ブログ」と「写真集」のコーナー。ブログのコーナーでは、あきつ君たちの奮闘ぶりや想いが透けて見えます。琵琶湖の「あきつ」は逆風にも立ち向かっています。休館といえども黙ってコツコツ前向きに突き進む。よくよく読めば、決して声高ではないけれど、文化を担う者の志が行間に読めるかも。負けたらあかんなーと思います。
写真集のコーナーでは、琵琶湖と琵琶湖文化館が織りなす四季折々の傑作写真が掲載されています。投稿するとホームページ上で掲載してくれるようです。腕に覚えのある方、なんだか知れないけれどきれいな写真が撮れちゃった方、メールで添付してみては送ってみてはどうでしょうか。近所に住んでいるので私も近々投稿してみる予定です!私は他府県の出身ですが、琵琶湖の空と光には、ほかにない美しさがあるように思えます。

周辺のおすすめ情報

琵琶湖と比叡山-文化館からの眺め
琵琶湖と比叡山-文化館からの眺め

撮影がてら、皆さんもぜひ実際に足をお運びください。残念ながら館内はみられませんが、天気のよい日であれば、湖岸沿いを歩くだけで琵琶湖の美しい風景を楽しむことができると思います。京阪電車石坂線の浜大津駅と石場駅の間なんかを散歩してもよろしいかも。
疲れたら、文化館の東側数百mに話題の「なぎさのテラス」はいかがでしょうか?最近できた4軒のおしゃれなカフェやレストランで、バルコニーもあって、琵琶湖や比叡山を眺めながら、おいしいパスタやワイン、冷えたビール、スイーツなどを楽しんでみてはいかがですか。間違いなく、すばらしいなぎさのひとときを過せるはずです。

アクセス

【公共交通機関】JR琵琶湖線 大津駅から徒歩15分、京阪電車石坂線 島ノ関駅ないし石場駅から徒歩5分
【車】 名神高速道路大津IC下車10分、駐車場がありませんので琵琶湖ホールや浜大津の公営駐車場を利用すると便利


より大きな地図で 新近江名所図絵 第1回~第50回 を表示

(瀬口 眞司)

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