新近江名所圖会　第95回　今年成人を迎えます－滋賀県立安土城考古博物館

名所というには些か手前味噌で恐縮ですが、このあたりで、私が勤務する滋賀県立安土城考古博物館の紹介をいたしましょう。当館は、特別史跡安土城跡をはじめ、史跡観音寺城跡、同瓢箪山古墳、同大中の湖南遺跡で構成される「近江風土記の丘」の中心的な施設として、平成４年（１９９２）に開館した歴史系の博物館です。ですから、平成２４年度が開館２０周年ということになります。
さて、博物館のメイン活動は、言うまでもなく展示です。当館では、館内に３つの展示室（常設展示室（２室）と企画展示室（１室））を設けています。弥生・古墳時代と戦国・安土桃山時代を中心テーマとする２つの常設展示室では、風土記の丘の各史跡の紹介に加え、テーマ展や発掘調査速報展などを随時開催し、来館するたびに新たな発見があるように心掛けています。一方、企画展示室では、考古、信長、武将と城郭、地域の文化財、さらに仏像・神像に至るまで、近江の歴史を多角的に学べる特別展・企画展を年４～５回開催し、高まる人々の知的欲求に応えています。

展示活動に加え、館の学芸員や多彩な外部講師による講座・講演会、忍者体験などの親子で楽しめる体験学習、考古・歴史・美術資料に関する調査・研究、さらに県内から出土した土器や木器の復元・整理などを行い、地域の生涯学習・文化財保護の拠点施設として活動しています。
私のように、京都から毎日通勤するには些か不便で、安土駅からの雪の日の自転車通勤などは体にこたえますが、ハイキングやドライブをかねて遊びにゆくにはよいところだと思います。２０周年を機に、例年以上に新たな催しにもチャレンジしますので、ぜひご来館ください。

おすすめPoint

ここで、博物館のメイン・イベント、２４年度の展覧会を紹介しておきましょう。特別展・企画展など、主要な展覧会は次の５つです。

・春季特別展「湖を見つめた王－継体大王と琵琶湖－」
平成２４年４月２１日(土)～６月１７日(日)

・秋季特別展「織田信長と武田信玄」
平成２４年１０月６日(土)～１１月１１日(日)

・第４４回企画展「湖（うみ）の船が結ぶ絆－天智天皇・信長の大船 そして うみのこ－」
平成２４年７月１４日(土)～９月２日(日)

・第４５回企画展「暮らしが生んだ絶景－琵琶湖　その文化的景観－」
平成２４年１１月２３日(火・祝)～２５年１月２７日(日)

・第４６回企画展「蒲生郡の風土と遺宝」
平成２５年２月２３日(土)～４月７日(日)

それぞれ、考古・歴史・文化・美術などにわたる多彩な展示内容となっています。また、展覧会に関連して、講座・講演会や湖上から史跡を展望するクルーズなどの関連行事を計画しています。本年度は特に、年間を通じてさまざまな内容の講座を用意していますので、きっと皆様の関心のある講座もあるのではないかと思います。これらの詳細やその他の各種催し物については、当館の催し物案内、または当館ホームページをご覧下さい。

周辺のおすすめ情報

冒頭の四つの史跡をはじめ、博物館周辺（旧安土町）はみどころ一杯です。
なかでも最近、重要文化的景観に選定され、あらためて注目されているのが西の湖で、遊覧船で景観を楽しむ「水郷めぐり」が人気です。西の湖については、第４５回企画展でも詳しく紹介する予定です。
また、博物館に隣接して、安土城天主最上部の内部を再現した信長の館があり、当館との共通観覧券が使えます。二館に安土山（安土城址と信長の菩提寺の摠見寺）を加えれば、手頃な信長コースになるでしょう。
摠見寺の他にも、付近には由緒ある寺院・神社が多く点在しています。博物館の背後になだらかな山容を見せる繖山（観音寺山）には、西国三十三所観音巡礼三十二番札所の観音正寺をはじめ、桑実寺、教林坊などの古刹が立ち、JR安土駅近くには安土問答が行われた浄厳院が伽藍を構えています。一方、佐々木氏の氏神として崇敬された沙沙貴神社、繖山を神体とする奥石神社などの古社も見逃せません。ともに、延喜式内社に比定されており、古代からの信仰をいまに伝えています。
そしてこれからの季節では、安土山から当館周辺にかけて、一斉に桜が咲き誇ります。西の湖では菜の花が美しく、春の近江路を堪能しつつ、当館や近在の社寺・史跡で歴史の面白さを感じて頂ければと思います。勿論、桜の季節ばかりではありません。５月になれば、当館背後の繖山が目も覚めるような新緑につつまれます。また、付近には紅葉の名所も多く、四季それぞれの美しい風光が、旅人の目を楽しませてくれることでしょう。

アクセス

【公共交通機関】JR琵琶湖線安土駅下車徒歩25分、駅前レンタサイクル（9分）の利用が便利
【自動車】名神高速道路竜王IC・八日市ICから約20分、無料駐車場有

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（山下　立）