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新近江名所図会

新近江名所圖會 第376回 近場で多様な遺跡や文化財を満喫!―鏡山の星ヶ崎城とその周辺(前編)―

竜王町
写真1:登山道入り口の案内標記
写真1:登山道入り口の案内標記

野洲(やす)市と竜王町の境にある鏡山(かがみやま)は、野洲郡と蒲生(がもう)郡を分ける郡境の境界線ともなっていました。また、鏡山からの丘陵が張り出す北側は旧中山道が通過しており、おおむねこの街道筋が現在の国道8号となっています。このように郡境界および街道筋との接点となっているこの地点は、現在、「道の駅竜王かがみの里」として休憩施設や情報発信・地元の特産品販売の拠点となっています。
実はこの道の駅を見下ろす位置には、かつて星ヶ崎城(ほしがさきじょう)という山城(やまじろ)が築かれていました。しかも、付近には山城だけでなく、これまでの歴史の中で営まれた古墳や寺院などのほか、希少な石造物といった文化財も残されているのです。

おすすめのポイント
星ヶ崎城をおすすめする理由は、タイトルのとおり近場でいろいろな時代・ジャンルの遺構や文化財が見学できるところです。ここからは実際に私が訪れたときの道順を追ってご紹介しましょう。

写真2:登り始めてすぐにある仁王堂
写真2:登り始めてすぐにある仁王堂

「道の駅竜王かがみの里」からの登山道入り口には多くの案内標記が掲げられており、これからの興味を掻き立ててくれます(写真1)。登り始めるとすぐに仁王堂があり(写真2)、お堂の中を覗き込むとおそらくドキッとすることでしょう。石造の仁王像がかなり近い位置で鎮座されています。格子間から薄暗い堂内に顔を近づけたら、目の前で仁王様が睨みをきかせておられましたので、私は心臓が止まりそうでした(^^;
仁王堂を過ぎると、そこはかつて300もの僧坊を擁する大寺院であったと伝わる西光寺の跡地に至ります。後世の造成の可能性もあるものの、よく見ると周囲には不明瞭ながら平坦面が残っており、往時の境内の様子が垣間見られます。その先の平坦面には、いずれも重要文化財に指定されている石燈籠(写真3)と宝篋印塔(ほうきょういんとう)(写真4)が見学できます。私は石造物にはそれほど造詣が深くないものの、これまで見てきたものとは少し違う、何か違和感がありました。説明看板を読むと、「あっ、そうか!」と納得。まず、この石燈籠は竿(柱の部分)が極端に長く、八角柱となっているところが特徴です。このような形態の石燈籠は他に類を見ないものというわけではないのですが、意外と少ないのです。一方、宝篋印塔のほうは実に珍しく、基礎となる石材に孔雀文(くじゃくもん)や、塔身の四隅に梟(ふくろう)と考えられる鳥が彫刻されています。このような例は日本でも極めて類例が少ないようで、一見しておく価値があります。

写真3:石燈籠(重要文化財)
写真3:石燈籠(重要文化財)

この辺りまでは少し山裾にかかる辺りなので、道の駅からは散歩がてらに見学可能なエリアです。次回はいよいよ山を上がっていきたいと思います。
(小林裕季)

アクセス
・道の駅竜王かがみの里より、西光寺跡まで徒歩約2分
・道の駅竜王かがみの里へは
【自家用車】名神竜王I.C.より10分
【公共交通機関】JR近江八幡駅より湖国バス:八幡村田線約20分、JR野洲駅より湖国バス:野洲アウトレット線約10分、道の駅竜王かがみの里下車。

写真4:宝篋印塔(重要文化財)
写真4:宝篋印塔(重要文化財)

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