新近江名所図会
新近江名所圖會 第440回 湖東三山もいいけど、湖南三山もいかが-湖南市長寿寺(東寺)
〇〇三山といえば、信仰の対象であった「熊野三山」=熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社や「出羽三山」=羽黒山、月山、湯殿山、古代に都の置かれた地「大和三山」=香具山、畝傍山、耳成山などが有名です。滋賀県にも有名な「三山」があります。
一つは「湖東三山」です。琵琶湖の東側、鈴鹿山脈の西側に位置する湖東地域の西明寺(甲良町)、金剛輪寺(愛荘町)、百済寺(東近江市)の三つの天台宗の古刹を指します。もともとは敏満寺(多賀町)、大覚寺(東近江市)とあわせて湖東五山ともよばれていましたが、信長の焼き討ち等により衰退・廃寺となり、現在は「湖東三山」となっています。そして、紅葉の名所として多くの観光客を集めています。紅葉のシーズンともなると駐車場に入れず、周辺道路も大渋滞するなど人気のスポットになっています。
もう一つは「湖南三山」です。こちらは湖南市にある長寿寺、常楽寺、善水寺の三つの天台宗の古刹を指します。由来は、紅葉の名所である湖東三山にあやかって、平成16年10月1日に旧石部町と旧甲西町が合併して湖南市なったときに、市名にちなんで付けられました。いずれも国宝の建造物や重要文化財の仏像を所有しており、奈良時代に建立された由緒ある寺院で、歴史的な意味では湖東三山に負けてはいません。頑張っているのですが、知名度ではまだまだ及びません。そんな湖南三山の寺院の一つである長寿寺を紹介します。
長寿寺(写真1)は、湖南市にある阿星山(あぼしやま)の北東麓にあり、地域では東寺と呼ばれています。ちなみに西寺は常楽寺を指します。奈良時代に良弁僧正によって建立されたといわれ、本堂(写真2)は国宝、弁天堂、阿弥陀如来坐像、釈迦如来坐像、阿弥陀如来坐像が重要文化財に指定されています。また、もともとあった三重塔は、織田信長の手によって居城である安土城へ移築されました。


◆おすすめPoint
湖南三山の一つである長寿寺は、紅葉のシーズンになると湖東三山ほどではありませんが多くの観光客が訪れる人気スポットでもあります。その理由の一つが、紅葉がきれいなことはもちろんなのですが、最近のSNSにおける「映え」を意識したフォトスポットがたくさんあることが影響しています。
その代表格は写真3です。紅葉シーズンに庫裏に展示されている切り絵と紅葉のコラボレーションです。SNSをやっていなくても、つい写真を撮りたくなる光景ですよね。それ以外にも参道や境内のそこかしこに「かわいい」「きれい」と声をあげたくなるような小物がいっぱい置かれていることもポイントです。ぜひ、訪れて探してみてください。

◆周辺のおすすめポイント
紅葉シーズンはもちろん、それ以外の季節に長寿寺だけではなく、他の湖南三山の寺院-常楽寺、善水寺を訪れてみてはいかがでしょうか。それぞれ国宝の建造物や重要文化財の仏像を所有しており、歴史好き、仏像好きにはおすすめです。
そして、寺院を参拝した後は、単純弱放射能温泉(低張性弱アルカリ性温泉)の「十二坊温泉ゆらら」でお風呂につかって帰るのもおすすめです。神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、慢性消化器病、慢性皮膚病などにいいらしいですよ。
◆アクセス
【自家用車】名神栗東IC下車、国道1号を経由して石部口を左折して約10分 駐車場あり
【公共交通機関】JR草津線「石部駅」下車 湖南市コミュニティバス 約15分 長寿寺下車
【拝観料】大人600円 高中生300円
(調査課 堀 真人)
★★ お知らせ ★★
滋賀県立安土城考古博物館 第71回企画展「近江―道が織りなす物語―」
当協会が指定管理者として運営している滋賀県立安土城考古博物館では、2026年2月14日(土)~2026年4月5日(日)に、上記テーマで企画展を開催します。
近江(滋賀県の旧国名)は、奈良時代以降、都の置かれた畿内と隣り合う場所として重視され、「道の国」と呼ばれるほど交通網が発達しました。
古くは「唐橋」と呼ばれた瀬田橋や、織田信長が安土城築城を機に整備した街道など、今なお使われ続ける道もあります。人の行き交う道には、名物もつきもの。風光明媚な景色を描く「近江八景」の浮世絵や、茶の湯の流行にともなって作られた比良焼や臨湖焼といった雅趣に富む焼き物も、道を通じて広まりました。本展では、「この道を通ったのは誰か?」という視点から、県内の考古資料や絵画、古文書、工芸品を紹介します。
詳しくはコチラのサイトをご参照ください。お待ちしております!
