新近江名所図会
新近江名所圖會 第273回 「現代の桃源郷-MIHOミュージアム」
MIHOミュージアムは、平成9年に開館した美術館です。美術館なのですが、平成22年に「古陶の譜 中世のやきもの 六古窯とその周辺」や平成24年に「土偶・コスモ」と考古学を学ぶものとしても非常に興味深い展示も行われています。
そして、美術館棟は、非常に重厚なつくりで展示だけではなく建物だけを見学するだけでも訪れる価値があると思います。その建物は、パリ・ルーヴル美術館ガラスのピラミッドなどをてがけた建築家I.M.ペイの作品です。
【周辺のおすすめ情報】
MIHOミュージアムは、人里からは離れたところに立地していることから近隣には何もないのですが、少し足を延ばすと信楽焼の町「信楽」があります。信楽には信楽焼窯元が数多く所在し、最近では散策路を整備して窯場の雰囲気を楽しむことができます(写真3)。
【おすすめポイント】
この美術館のコンセプトは、中国の古典、陶淵明の「桃花源記」に描かれた桃源郷の再現です。
美術館棟へはJR石山駅からのバスもしくは自家用車となりますが、バス停、駐車場で車をおりると最初にミュージアムショップ、レストランが入ったレセプション棟があります。このレセプション棟からは、美術館棟までの道のりを運んでくれるカート(電気自動車)がでています。このカートを利用すると美術館棟までおおよそ10分弱ですが、ここではカートに乗らずに徒歩で移動することをお勧めします。その理由を説明しましょう。
カートで移動するレセプション棟と美術館棟の間には、緩やかな坂とトンネルがあります。このルートの見どころは二つあり、一つは桜並木です。このMIHOミュージアムは、信楽に所在することもあり、大津・草津周辺と比較すると平均気温が低いことと、サクラの種類も枝垂桜が中心であることからソメイヨシノに比べるとやや遅く、見どころは4月中旬ごろでしょうか。満開のタイミングに合えば感動的な光景が広がります(写真1)。
もう一つは、トンネルを抜け、美術館棟を望む光景です。それは、川端康成の『雪国』のなかで「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」と表現されている雰囲気-トンネルを抜けると別世界が広がる-を彷彿させます。薄暗いトンネル内と、明るく緑の山並みをバックに白を基調とした美術館棟のコントラストが象徴的で、まるで別世界に迷い込んだような錯覚に陥ります(写真2)。
【アクセス】
[公共交通機関]
JR琵琶湖線石山駅から帝産バスで約50分
[自家用車]
新名神高速道路信楽ICから約20分
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