オススメの逸品
調査員のおすすめの逸品 №265 麒麟がいた 大津市坂本所在 西教寺の麒麟
2020年度のNHK大河ドラマの主人公は明智光秀だとか。タイトルは「麒麟がくる」だとか。麒麟とは中国の神話に現れる伝説上の霊獣で、獣類の長とされ、鳥類の長である鳳凰と対比されます。形は鹿に似て、顔は龍に似て、牛の尾と馬の蹄を持ち、麒角と呼ばれる角を生やし、体には鱗がある、という、見ようによってはグロテスクな動物です。性質は穏やかで、虫や植物を踏むのを嫌がるほど殺生を嫌い、千年を生きるとされています。そして、王が仁のある政治を行うと、これに感応して出現するとも伝えられています。
何故、戦国時代を生き、本能寺の変を引き起こした光秀の物語に麒麟が登場するのか、理解に苦しみますが、何かの意図を込めた、新しい光秀像を創造しようとしているのでしょう。楽しみです。
さて、筆者は、悪乗りするタイプの歴史文化の探究者ですので、受け狙いの講座や、セミナーを嬉々として行っています。光秀が大河ドラマに登場する。私の住んでいる坂本は、光秀の焼き討ちにあい壊滅し、その後、坂本城が築城されました。そして光秀の菩提寺が坂本の西教寺。これをネタにしなければイチビリ歴史文化探究者の名が廃る。早速西教寺に取材に出かけました。西教寺には明智光秀一族の墓や、光秀最愛の妻である煕子さんのお墓もある見どころ満載の寺です。
何回目かの取材に出かけたある日、「喉も乾いた、麒麟麦酒がほしい。」と呟きながら境内をうろうろし、ふとある建物の意匠を見てびっくり。何と、麒麟が二頭向かい合っているではありませんか。しかも、ご丁寧に、片方は口を開けた阿形。片方は口を閉じた吽形です。麒麟の寺に麒麟が・・・・。まさか、NHKの仕業ではないとは思いますが、できすぎです。奇々怪々な麒麟の出現。そこで講座のタイトルが私の脳裏に如来しました。
「奇々麒麟」
光秀の出生は謎に包まれ、最近では、「明智光秀多賀町佐目出身説」まで登場するほどです。まさに「奇々怪々な麒麟」です。今年から来年にかけての光秀を取り上げる私の講座では「奇々麒麟」をどこかに付けることにしました。始めは休暇村近江八幡主催の9月8日・9日開催の光秀探訪。続いて9月11日から始まる大津市勤労者互助会主催の光秀に関する講座で、次々に続きます。是非話を聞きに来てください。
そういう意味では、西教寺の麒麟は、まさしく調査員の一押し逸品ということができます。ん?肝心の麒麟が西教寺の何処にいるのかって?何処かに居ます。探してください。見つからなかったら、私の講座を聞きに来てください。こっそり教えてあげます。 (大沼芳幸)