記事を探す

オススメの逸品

ないものは自分で作れ!-自作スチーマーの話 後編-

その他
スチーマーmkⅡ
スチーマーmkⅡ
mkⅡ メインホース取付部
mkⅡ メインホース取付部
mkⅡ ハンドグリップ
mkⅡ ハンドグリップ
スチーマーmkⅡ使用状況
スチーマーmkⅡ使用状況

職場の倉庫や自宅に転がってるもので作ったスチーマーのプロトタイプ開発から5か月後、スチーマー量産の経費が出してもらえることになりました。その前に、市販のスチーマーが使えるなら使った方がいいんじゃないの?って話もあったので、市販スチーマーを所有してる職員にもってきてもらいました。でも使えないことを思い知らされました。市販スチーマーは掃除用なので、すっごい勢いで蒸気が出ます。理想のホワホワ蒸気とは正反対でした。こんなの使ったら木器に孔があいて吹っ飛んでいくか、粉々に砕け散るほど強力でした。
今回は2機製作することにしました。瀬田の埋蔵文化財センターと安土分室に1台ずつ配備するためです。プロトタイプ製作時のノウハウがあるため、結構簡単に作れてしまいました。スチーマーmkⅡと命名し、安土分室には1号機を、瀬田には2号機を配備しました。
プロトタイプからの改良点は以下のとおりです。
◎圧力弁がない。プロトタイプにもありませんでしたが、今回は作ろうともしませんでした。必ずどこかから漏れるはず、と考えたので。やはり、注ぎ口からいい感じで漏れてくれます。
◎注ぎ口とホースをキャップでつながない。プロトタイプはフラスコの蓋のようなものを使ってましたが、ケトル内のお湯が減り、空焚きに近い状態になると外れて飛んでしまうことがありました(IHヒーターには空焚き防止機能があります)。この問題を解決するために、ピーピーケトルのピーピー鳴る孔(注ぎ口の蓋にある孔)に合うステンレスパイプをシリコンシーラントで接着しました。注ぎ口の蓋にもシリコンシーラントを塗り、蓋を閉めたときに密閉性が高まるようにしました。
◎シリコンホースの採用。プロトタイプでは家に転がってたビニール製のホースを使いましたが、耐熱性を高めるために、シリコンホースを採用しました。上記のステンレスパイプが無理なく入る内径のものを選びました。プロトタイプよりもホースは細いですが、問題なくホワホワした蒸気が出てくれます。
◎ハンドグリップの装着。蒸気吹き出し中のホースは大変熱く、素手で触ると火傷するほどです。プロトタイプではウレタン製の窓枠隙間テープを巻いてました、mkⅡでは木製のハンドグリップを装着しました。ハンドグリップは、最近木地師に目覚めた上司に作っていただきました。とてもきれいに作っていただいたので、スマートなスチーマーに仕上がったと思います。

こんな感じでスチーマーmkⅡができました。簡単かつ低コストで2機つくれたので、いつでも量産できるようになりました。
実際の使用感はというと、ハンドグリップがあるためか、プロトタイプより扱いやすい気がします。注ぎ口のキャップが飛ぶ心配がないので、ケトル内のお湯の量をあまり気にしなくて済みます。
今後の改良点としては、プロトタイプ・mkⅡともにホースに保温材を巻いていないので、吹き出し口から水滴が垂れます。これは今後の課題です。ホースの柔軟性を損なわない最適な保温材がみつかれば、すぐにでも装着するつもりです。そのときは、「スチーマーmkⅡ-EX(Extention)」と改名するでしょう。

重田 勉
Page Top