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オススメの逸品

調査員のおすすめの逸品 No.70 収納上手-図面ケース

その他

今回は、「おすすめ」というより「思い出」の逸品を紹介します。
私たちが行う埋蔵文化財の発掘調査は、開発を前提とした場合が大半なので、調査が終了すると本来の遺跡の姿が失われてしまいます。ですから、移動可能な出土遺物は収蔵庫で保存され、移動不可能な遺構は測量を行い、実測図という図面にしたり写真に収めることで記録保存を行います。図面は遺跡の規模によって異なりますが、大きな遺跡の場合は数百枚に及ぶこともあり、それをコンパクトに収納ために図面収納ケースを使用します。滋賀県埋蔵文化財センターの保存室には記録保存された図面が納められていますが、私はこの収納ケースを見るたびに昔の地図の収納を思い出してしまいます。
学生時代、私は地理学を専攻していましたので、資料調査へ行くたびに現地で国土基本図のような大型スケールの地図を購入していました。そのころは、地図をきれいに保存するため折ることに抵抗を感じていました。そこで図面収納ケースに地図を入れて保管したのです。このとき使用した図面収納ケースは以下の2種類です。

筒形収納ケース
筒形収納ケース

【筒型収納ケース】
2500分の1国土基本図などの大型地図を収納するときに便利で使用していました。ただし、大型のケースは伸縮自在で直径も大きいので、移動中に職務質問された思い出があります。

二つ折り収納ケース
二つ折り収納ケース

【2つ折り収納ケース】
25000分の1地形図など、比較的小型の地図を収納するときに使用していました。

しかしながら、利便性を考えて使用した収納ケースも、比較的短期間で使用をやめてしまいました。その理由として、折り目こそ付かないものの曲がり癖がついてしまい、利用する際に不便を強いられたためです。結局折りたたむ方が少ない収納スペースでに済み、出し入れや利用も簡単なことから、図面収納ケースは持ち運びの時だけ使用するアイテムになってしまったのです。
今でも旅先の役場で地図を購入していますが、その場で折りたたんでしまいます。地図もデジタル化が進んでコンピュータのハードディスクで保管するものも増えました。現在では学生時代と比較にならぬほど地図の収納方法が多様化していますが、紙媒体の地図がある限り図面収納ケースは使われ続けるでしょう。

※【おまけ】私が学生時代に教わった地図の折りたたみ方を紹介します。

手順① 地図の天地を1mmほど残して折ります。
手順① 地図の天地を1mmほど残して折ります。
手順② 続いて左右を1mmほど残して折ります
手順② 続いて左右を1mmほど残して折ります
手順③ 中央を山折りして、左右を谷折りします。
手順③ 中央を山折りして、左右を谷折りします。

このとき、山の部分が両端より低くなるように折ります。(山部分が摩耗するのを防ぐため)

手順④ 最後に左右を2つ折りして完成です。
手順④ 最後に左右を2つ折りして完成です。

歪みなく丁寧に折ることがコツです。2500分の1国土基本図を折りたたむと衣服用収納ケースに収まるサイズになります。

(神保 忠宏)

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