新近江名所図会
新近江名所圖會 第445回 水口城と水口宿場町の名物を訪ねて
水口城は、江戸幕府三代将軍家光が、江戸から京都へ天皇に拝謁(はいえつ)する際の滞在先のひとつとして、1633年(寛永10年)に建てられた城です。築城は幕府直営で行われ、徳川将軍家の茶道の指南役であり、建築家、作庭家でもあった小堀遠州(こぼりえんしゅう)が作事奉行をつとめました。本丸の周囲には、野洲川の湧水による青い水をたたえていたことから、後の水口城3代目の藩主であった、加藤明友により「碧水城」(へきすいじょう)と命名されました。現在は、復元された角櫓(すみやぐら)が「水口城資料館」として公開されています(写真1)。

おすすめポイント
水口城資料館1階の展示室では、築城当時の復元模型(写真2)が展示されていて、当時の京都の二条城を小型化した将軍家の宿館にふさわしい格式の高い建物をうかがい知ることができます。2階の展示室では、豊臣秀吉の家臣の中村一氏(かずうじ)が甲賀市水口の古城山に築いた、水口岡山城の発掘調査の様子が紹介され、出土した瓦などが展示されています。

周辺のおすすめ情報
江戸時代には、水口城の北側の東海道沿いには、旅人の宿泊や荷物の輸送を行う宿場町が整備されました。宿場の名物としては、初代歌川広重が浮世絵に描いた干瓢(かんぴょう)や、山野に自生する葛(くず)を精製し箱や籠類に仕立てた水口細工、刻みタバコを詰めて煙を吸うための道具であるキセルなどがあったようです。
今回は、水口観光の休憩所である「甲賀市ひと・まち街道交流館」(写真3)で、干瓢を見つけたので買ってみました。一袋500円でした(写真4の右側です)。干瓢は、ユウガオの実をカンナでうすく削って干した乾物で、水でもどしてから巻きずしや昆布巻の中の具として使います。水口は、夏に雨が多くて、水はけのよい土壌をもっていたことから、ユウガオの生育に適していました。大坂や京都の大消費地で需要が高まるにつれて、全国的にも有名になり特産化したそうです。私も、いつか時間をみつけて、今回買った干瓢で干瓢巻を作ってみたいと思います。

それから、写真4の左側の葛バーは、葛を凍らせて作ったアイスバーです。夏ミカン味を買ってみました。果肉がたくさん入っていて、とても美味しかったです。1本240円で、ほかにも抹茶味やブルーベリー味などがありました。

アクセスなど
水口城資料館
①入館料:200円、18歳未満無料、②休館日:月曜日・火曜日、12月29~1月3日、③開館時間 10時~17時、④アクセス(自家用車):新名神 甲賀土山ICから15分(水口城南駅駐車場、あいこうか市民駐車場が利用可能)⑤アクセス(公共交通):JR草津線貴生川駅から近江鉄道に乗り換え水口城南駅下車徒歩4分
甲賀市ひと・まち街道交流館
①休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始、②開館時間:9時~17時、③アクセス:水口城資料館から、東側に徒歩15分。
(調査課:田中咲子) ※田中咲子の活動実績は【コチラ】
★★★ お知らせ ★★★
今年は、織田信長が安土城を築いてから450年目を迎える節目の年。この安土城、近世の城の要素を初めて兼ね備えた「近世城郭の出発点」だとしばしば指摘されていますが、突然現れたというよりも、それまでの城の要素を信長が集大成し、築き上げた結果とも言えます。
このたび、安土城考古博物館では、上記のような流れにスポットを当てた春季特別展──安土城築城450年記念「安土山築城前夜 戦国乱世の城」──を開催します(会期:令和8年4月25日~6月14日)。詳しくはこちらの【公式サイト】をご覧ください。皆様のお運びをお待ちしております!
