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新近江名所図会

新近江名所圖会 第17回 清滝寺徳源院-四季折々の表情-

米原市
米原市清滝
京極家歴代当主の墓所
京極家歴代当主の墓所

清滝寺徳源院は、宇多天皇の流れを汲む京極家の菩提寺です。1283年に創建した京極氏信の法号から、はじめ「清滝寺」と名付けられました。同寺は、米原市清滝の山あいにあり、古代の主要な交通路である東山道に隣接し、北方約6㎞に京極氏の居城のひとつ「上平寺城」を望むことができます。
京極氏は鎌倉時代中頃に佐々木氏の分家として始まりますが、室町時代になると本家筋の六角氏を凌ぐ勢いを得、幕府の要職に就くなど隆盛を極めます。戦国期には家臣であった浅井氏に実権を奪われ往時の勢いを失いますが、江戸時代なっても大名として存続します。江戸時代中頃には四国丸亀藩主となった高和が所領の一部と交換に清滝の地を得、その子高豊によって寺院が整備されます。この時、寺名を高和の法号から「徳源院」となり、現在の「清滝寺徳源院」に至ります。同寺院は、長い歴史を経て一氏族の墓所が同じ場所にある、非常に貴重な史跡として知られています。

おすすめPoint

清滝寺徳源院 秋の庭園
清滝寺徳源院 秋の庭園

鎌倉幕府で活躍し、バサラ大名としても有名な京極高氏(道誉)ゆかりの「道誉桜」(天然記念物)をはじめ、建ち並ぶ歴代当主の墓所(国指定史跡)、三重塔(県指定有形文化財)、本尊(市指定文化財)などおすすめはたくさんありますが、墓所のすぐ横にある池泉回遊式庭園(県指定名勝)は必見です。背後の清滝山を借景に、四季折々の変化が楽しめます。特に、秋の紅葉は圧巻で、客殿から観る鮮やかな紅葉に思わず声をあげてしまいそうなほどです。また、夜の庭がライトアップされ、コンサートが催されることもあり、昼間とは違う趣を味わうことができます。

周辺のおすすめ情報

清滝寺徳源院のある「清滝」地区は散策ポイントに事欠きません。春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色とさまざまな表情をみせます。境内に続く参道をゆったり歩くと、美しい幻想の世界に引き込まれてしまいそうです。集落を流れる清らかな川にゲンジボタルが乱舞する静かな風景があるかと思えば、「清滝大松明」という激しさを感じさせる祭りもあります。
この大松明は京極氏の菩提を弔ったのが始まりともいわれ、毎年8月15日の夜半に行われます。清滝山山頂の火ともし場から運ばれた火種を元に、直径約1m、長さ約10mもある竹と芝の束に火をつけて山腹を駆け降り駆け上がる勇壮な火祭りで、激しさと賑やかさをまとった松明は地表に立てられて夜空を焦がす送り火となります。最後は清滝寺徳源院を含む集落三ヶ寺の僧侶による読経で締めくくられ、深く穏やかに響く読経が荘厳な空間へといざないます。
集落を離れ、柏原駅までの道すがらにも、見所が盛りだくさんです。南北朝期に活躍した北畠具行の墓や、信長、秀吉などの戦国武将が宿営した「成菩提院(じょうぼうだいいん)」、徳川家康・秀忠・家光が上洛するときの宿泊・休憩所とした「御茶屋御殿跡」のほか、「柏原宿歴史館」は中山道柏原宿の様子を豊富な資料とわかりやすい解説で紹介した、歴史情報満載の場所です。
江戸時代になると主要街道中山道の整備されるなかで、新たに柏原宿も生まれましたが、その一方、東山道はひっそりと山あいに隠れるように佇み、「柏原」地区の中心は清滝から柏原宿へと移りました。

アクセス

【公共交通機関】JR東海道線柏原駅から徒歩約20分
【自家用車】北陸自動車道米原ICまたは名神高速道路関ヶ原ICから車で約15分、駐車場あり


より大きな地図で 新近江名所図絵 第1回~第50回 を表示

(中川 治美)

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