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新近江名所図会

新近江名所圖会 第20回 皇子山古墳-琵琶湖を望む王の墓-

大津市
大津市錦織1丁目
皇子山1号墳復元葺石
皇子山1号墳復元葺石

JR大津京駅から北西の方向に広がる住宅街は、天智天皇の大津宮である錦織遺跡をはじめ数多くの遺跡が見つかっている地域です。そのようななかにある、ひときわこんもりと木々が茂る丘陵の上に、国史跡皇子山古墳は築かれています。
京阪石坂線近江神宮駅より西へ350mほど住宅街の中をジグザグに抜けていくと、丘陵の裾に着きます。案内板を横目に階段を上っていくと、目の前に整備された古墳が現れます。
この古墳は、全長60mを測る、古墳時代前期(4世紀)の前方後方墳です。近年の発掘調査によって県内最古の古墳ではなくなりましたが、県内でも早い時期に造られた首長墓のひとつとして知られています。横からでは分かりにくいですが、墳丘上に上ると南側に前方部を向けたその姿がよくわかります。前方部と後方部の墳丘上には、石で四角く区画された場所が2か所示されています。過去の調査によって、その場所に主体部(死者を埋葬する場所)があることが確認されています。

おすすめPoint

墳頂からの眺め
墳頂からの眺め

古墳の墳丘外面には、少し大きめの石を並べていました。現在見えるのは墳丘を保護するため復元的に並べられたものですが、当時の姿を窺うことができます。山側にあたる西側に比べ東側が丁寧に造られており、琵琶湖側から見られることを意識していたようです。
この古墳は標高162m付近に造られており、墳丘上からは眺望がすばらしく、琵琶湖や大津の町並みをはじめ、対岸の三上山などが目の前に広がります。平地にあった集落に住む人々や、陸路および水路を通る人々からは、石が葺かれたこの古墳がよく見えたに違いありません。古墳からの眺めは、葬られた人物の力を感じさせてくれます。
周辺のおすすめ情報
古墳の下に広がる住宅地には、はじめに記したように大津宮とされる錦織遺跡が広がっています。重要な遺構が確認された場所は建物の柱痕が表示されるなど整備がされており、案内板も設置されています。
また、錦織遺跡の北側には、昭和15年(1940年)に創祀された天智天皇を祭神とする近江神宮が鎮座しています。天皇が日本で初めて水時計を作った事跡により、境内には時計博物館が併設されています。
紅葉の季節のハイキングに、出かけてみてはいかがですか?

アクセス

【公共交通機関】京阪電車石坂線近江神宮前から徒歩約10分
【自家用車】名神高速道路京都東ICから西大津バイパス経由約10分、駐車場なし


より大きな地図で 新近江名所図絵 第1回~第50回 を表示

(中村 智孝)

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