新近江名所図会
新近江名所圖会 第146回 渡来人の奥津城その3-穴太野添古墳群-
(大津市坂本本町・坂本1丁目)
大津市北部地域の近江神宮から日吉大社付近にかけての山手地域には、1,000基を超えるともいわれる古墳が群集していて、滋賀県内でも有数の古墳密集地です。これらの古墳は、ドーム状の天井をもつ形態の石室やミニチュア炊飯具を副葬するなどの特徴を持つことと、文献資料やその付近でみつかっている集落遺跡などから、渡来人の墓といわれています。
穴太野添古墳群(あのうのぞえこふんぐん)はその中の一つの古墳群で、180基以上の古墳で構成されています。この数は、周辺の古墳群の中でも随一の数を誇っています。古墳群は、現在、墓地とその周辺の山林の中に残っていて、こんもりとした墳丘や開口・露出している石室をそこかしこに見ることができます。古墳群の一部は、昭和44年(1969)に県道敷設に伴い滋賀県教育委員会によって7基が、昭和61・62年に墓地の拡張整備に伴い大津市教育委員会によって17基が、それぞれ調査されています。その調査成果から、おおむね6世紀前半から7世紀初めにかけて築造されたことがわかっています。なお大津市教育委員会によって調査された古墳の一部は、現地で保存・整備されていて、見学することができます。
おすすめポイント
おすすめポイントは、やはり古墳群から見える景色でしょうか。穴太野添古墳群は標高170mを超える地点に位置しているので、一部は周囲の林に遮られるものの、琵琶湖対岸部の草津・栗東・守山・野洲地域を一望できます。天気の良い日には、三上山を正面に眺めることができます。
周辺のおすすめ情報
周辺には、第1回で紹介した「桐畑古墳(熊ヶ谷古墳群)」や第22回で紹介した「百穴古墳群」など、同じような古墳群が点在しています。また、穴太野添古墳群のように調査終了後に整備して緑地公園として保存されている古墳群としては、装飾付の須恵器が出土した袋古墳群(ふくろこふんぐん:袋古墳緑地)や太鼓塚古墳群(たいこづかこふんぐん:高砂古墳公園)があります。比較的まとまった地域にありますので、散策してみてはいかがでしょうか。
アクセス
【公共交通機関】京阪石坂線穴太駅下車、徒歩10分
【自家用車】西大津バイパス滋賀里ランプ下車、県道47号を北上、5分、墓地の駐車場あり。
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(堀 真人)
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