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新近江名所図会

新近江名所圖会 第2回 小椋神社

大津市
大津市仰木
小椋神社
小椋神社

大津市北部、比叡山の麓に広がる仰木の集落の中心的な神社がこの小椋神社です。天安2年(858年)の創祀と伝えられ、延長5年(927年)に延喜式内社に選ばれています。境内には仰木の4つの集落と、谷を隔てた千野の氏神を祭る5つの主な社殿の他、地蔵菩薩や稲荷社など、15の社殿や祠が立ち並んでいます。
毎年5月3日に例祭が行われ、境内は多くの人でにぎわいますが、普段は川の流れる音だけが聞こえ、ひっそりとした空間です。

おすすめPoint

瑞垣
ひっそりとたたずむ瑞垣

この小椋神社のおすすめPointは石造の瑞垣(たまがき)です。瑞垣とは神社の周りを囲う結界(垣)のことで、2箇所で見ることができます。一つは鳥居をくぐって石橋を渡ってまっすぐ進んだ所にある、大宮神社と若宮神社の二つの社殿が並ぶ西側と北側、もう一つは拝殿の左手、両脇に狛犬が控えた石段の奥にある田所神社の社殿の西側と南側にあります。
どちらも石垣の上に板石を並べており、ほかの神社では見ることができない珍しい構造をしています。瑞垣の中にはには正安2年(1300年)の年号(正安二辰三月廿日)が刻まれているものがあり、鎌倉時代に作られたことがわかります。これらの瑞垣は国の重要美術品に指定されています。

周辺のおすすめ情報

覚性律庵
石に刻まれた不動明王

小椋神社の鳥居の右手、河沿いの道を進むと、第9番西国愛染明王霊場にもなっている「覚性律庵」があります。山肌に沿って階段状に堂舎が連なっており、全体が木々に覆われています。愛染明王の他、不動明王も祭られており、不動堂の奥には石に刻まれた不動明王とその眷属の像があります。
また、参道沿いには「山地神社」があります。平安時代に後深草天皇に仕えた弁内侍がこの地に移り住んで晩年を過ごしたことに由来する神社です。弁内侍が裁縫の上手であったという言い伝えから、今も針仕事の上達を願って針供養が行われています。
この小椋神社がある仰木の集落周辺には棚田が広がっており、夏には青々とした姿を見ることができます。

アクセス

【電車】JR湖西線おごと温泉駅から江若バス(平日のみ)「辻が下」下車徒歩10分
【車】国道161号線から奥比叡ドライブウェイ方面、郵便局の次の交差点を右折。駐車場あり。

より大きな地図で 新近江名所図絵 第1回~第50回 を表示

(伊藤 愛)

参考資料
『新修大津市史7 北部地域』1984

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