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新近江名所図会

新近江名所圖会 第37回 殿様気分にひたりながら-水口城資料館-

甲賀市
甲賀市水口町本丸

水口城
水口城

水口は古くから伊勢神宮参詣の要所として、室町時代には宿場町が形成されました。
転機となるのは天正13年(1585年)に羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)が関東に対する軍事的要地とし、家臣の中村一氏に命じて岡山城を築かせたことです。徳川家康が天下をとった後も、秀吉同様戦略的に重要視して直轄地としました。そして東海道の整備に伴い、水口は城下町から宿場町へと性格を変えていきました。
水口城は江戸幕府、三代将軍徳川家光が京都上洛のために宿館として、寛永11年(1634年)に小堀政一(遠州)に築造させたもので、別名『碧水城』とも呼ばれています。
湧き水を利用した堀に清らかな水をたたえていたことから、加藤明友(賤ヶ嶽七本槍で有名な加藤嘉明の孫)により命名されました。
現在、本丸部分は県立水口高校のグランドとして利用されており、美しい白いお城とのコラボレーションに、遙か遠い歴史の流れを感じさせられます。そんな昔への思いを馳せながら、また、現在の風景を楽しみつつお城の周りを散策されてはいかがでしょうか。また、夜には隅櫓がライトアップされ、小さいながらも幻想的で美しい眺めを楽しむことができます。

おすすめPoint

資料館外観
資料館外観

水口城資料館は、平成3年(1991年)11月水口城の資料を展観する施設として開館されました。建物は水口城の隅櫓が明治時代に城下に払い下げられていたものを、現在の水口城跡(滋賀県指定史跡)の石垣遺構が残る出丸部分に一区され、復元されたものです。
館内はまさに小さなお城の資料館といったところでしょうか。一階には城の模型(100分の1)や瓦、水口城に関する資料、水口藩時代の文献などが展示されており、当時の様子をうかがい知ることができます。二階は和室(研修室として利用できます)があり、絵画なども展示されています。
また、格子窓から見える岡山城跡(地元では城山と呼ばれ、1585年(天正13年)に羽柴秀吉の命により建てられた)を眺めていると、ちょっぴり城主の気分にも浸ることができます。

周辺のおすすめ情報

水口城資料館から徒歩4分程のところに、甲賀市水口歴史民俗資料館があります。水口の歴史全般を知るには最適の資料館です。両館の共通券もあり大変便利です。
また、この資料館のすぐ近くには水口曳山祭りで有名な式内水口神社があります。水口の鎮守社であり、毎年四月二十日に行われる水口祭(地元では水口曳山祭りのことをこう呼びます)の際には水口の各町々から大きな曳山が巡行し、この神社に集まってきます。実際の曳山がこちらの民俗資料館にも展示されていますので併せて観覧されてはいかがでしょう。

アクセス

【公共交通機関】JR草津線貴生川駅で近江鉄道に乗り換え「水口城南」駅下車、北へ徒歩4分
【自家用車】新名神高速甲賀土山ICから約15分、駐車場あり


より大きな地図で 新近江名所図絵 第1回~第50回 を表示

(北川 真理)

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