新近江名所図会
新近江名所圖会 第36回 蘇る弥生時代の環濠集落-史跡下之郷遺跡-
下之郷遺跡は、は3~9重の濠で囲まれた環濠集落で、弥生時代中期の中でも、おおよそ紀元前2世紀頃の約100年間にわたり営まれた、湖南平野における中核的集落です。
最も内側の濠で囲まれた範囲は、東西262m×南北201mで約4.2ha、最も外側の濠までとすると約25haの広さがあります。これは近江の環濠集落の中では最大、国内でも3番目の規模です。
発掘調査により、門や集落の中心となる区画を伴う棟持柱を持つ掘立柱建物などの集落に伴う各種の施設が発見されています。また、出土品としては、土器・石器・木製品の日常品や植物遺体の他にも、青銅製・石製・木製の武器・武具類や祭祀具が注目されます。
下之郷遺跡は、集落内の生活や交流の実態が良くわかる事例であり、「クニ」が生まれようとする弥生時代中期の大きな社会の動きをも読み取ることができる遺跡であることから、2002年3月には国の史跡に指定されました。
そして、遺跡を学び、親しめる施設として「下之郷史跡公園」が2010年11月23日にオープンしました。遺跡全体からすると公園化されたのは8,000㎡とほんのわずかですが、2000年以上の時を越えて弥生時代のムラが蘇ったのです。
おすすめPoint
下之郷史跡公園の特徴は、「環濠を実際に見ることができる!」です。環濠保存施設内には、発掘調査された環濠の一部がそのまま露出展示されているだけでなく、屋外には調査成果に基づき当時の姿の環濠が復元されています。
また、弥生時代の米作りを体験する水田もあったり、環濠などの発掘調査が現地説明会だけではなくいつでも見ることができるような施設も用意されています。公園内を貫く石田川沿いには桜並木があり、春にはお花見ポイントになります。
周辺のおすすめ情報
守山は、中仙道の宿場町でもあります。この20年ほどで随分と街道筋の面影が減ってしまいましたが、今も道標や一里塚が残っています。
また、毎年1月第2土曜日の夜に行われる「火祭り」で有名な勝部神社は、近江守護佐々木氏に縁が深く、佐々木高頼により明応6年(1497)に再建された本殿は国の重要文化財に指定されています。ちなみに、「火祭り」は、JR守山駅を挟んで東側にある住吉神社でも行われます。
アクセス
【公共交通機関】JR琵琶湖線守山駅西口から近江鉄道バス小浜線小浜・あやめ浜・堅田行き「下の郷東」まで約8分、下車すぐ
【自家用車】名神高速道路栗東ICから約20分、駐車場あり
※公園利用等についての問い合わせ先
守山市下之郷史跡公園(守山市下之郷一丁目12番8号) TEL.077-514-2511
守山市教育委員会事務局文化財保護課 TEL.077-582-1156
より大きな地図で 新近江名所図絵 第1回~第50回 を表示
(小竹森 直子)
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