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新近江名所図会

新近江名所圖会 第81回 文字か絵画か? -安閑神社の神代文字碑-

高島市
高島市安曇川町三尾里
神代文字碑
神代文字碑

かつて一部の人々によって日本に漢字が伝来する以前に既に文字が使用されていたとする説がありました。これらの文字は「神代文字(かみよもじ・じんだいもじ)」と呼ばれています。高島市安曇川町三尾里の安閑神社に、この神代文字とされる字とも絵とも判別のつかない謎の図像が陰刻された石碑があります。(現在は漢字伝来以前の日本固有の文字は存在しなかったとする説が支持されています)
安閑神社はJR湖西線安曇川駅から南西へ徒歩約10分、三尾里集落内にある小さな神社です。祭神は安閑天皇が祀られていますが、創祀年代や由緒などはわかっていません。この安閑神社の社の向かいに神代文字碑が置かれています。数十年前までは知らずに橋に使われていたとされますが、現在は隣に据えられる「力石」とともに安置されています。

おすすめPoint

神代文字碑と力石
神代文字碑と力石

神代文字碑の図像については、いつ頃どのような目的で刻印されたのか詳しいことはわかりませんが、石材は古墳の石室に使われていたものではないかとも言われています。石材は平たい石を切り出して周囲を整形しています。
また神代文字碑の隣には、力持ちの村娘が田の水口を塞いで水争いを止めたとの言い伝えが残る「力石」があります。加工の度合いは違いますが、こちらも古墳の天井石などに使われていたとしても違和感のない石材です。
今となっては確かな答えは出そうにない謎の図像が刻まれた石。その石がたどってきた歴史とはどのようなものだったのか、謎がいっぱいの碑に思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。

周辺のおすすめ情報

鶴塚
鶴塚

安閑神社から北へ徒歩約1分のところに、鶴塚と呼ばれる非常に巨大な宝塔が残されています。
この宝塔は鎌倉時代中期頃の造立と考えられ、既に廃寺となっている満願寺というお寺の寺域内にあったといわれています。特筆すべき点はその大きさです。高さは実に4mを測り、県内の石造宝塔内で最大級の規模を誇ります。また塔身軸部には並座する二仏が彫り込まれています。安閑神社を訪れた際には是非ともお立ち寄りを。

アクセス

【公共交通機関】JR湖西線安曇川駅から徒歩約10分
【自家用車】国道161号バイパス鴨ランプから5分、駐車場あり


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(小林裕季)

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