オススメの逸品
調査員オススメの逸品 第189回 超キュート!中学生の力作展示
この6月、職場体験学習で来てくれた中学生たちが、〈超キュート〉なミニ展示を製作してくれました。今回、この展示と中学生たちを〈逸品〉として紹介してみます。
私が仕事をしている調査課安土分室は、滋賀県近江八幡市にある県立安土城考古博物館の一角にあります。この分室は、以前から近くの安土中学校の職場体験を受け入れてきました。その中学生たちに、昨年からチャレンジしてもらっているのが〈展示作業〉。 考古学・文化財の調査機関ならではの職場体験を味わってもらっています。今年は女子3人が来てくれました。
彼女たちにお願いしたミッションは2つです。その第1は、安土分室で実施している出土品の整理作業を体験し、スタッフさんたちへも取材しながら、作業内容や道具類に関する〈ミニ展示〉を製作すること。第2は、その展示に関するチラシとポスターを自作することです。6月7~10日からの4日間で頑張ってもらいました。
ミッションの前半は、土器の接合・復元、実測・拓本の実体験です。上手くできなくて、ちょっぴり泣きべそかきながらも(笑)、何とかクリア。そうなんだよ。お仕事って、やり遂げると、何だかすごく嬉しくなるよね。よしよし。
次は、スタッフさんの座席表を抱えながらのインタビュー取材です。作業の難しいところ、コツ、道具の名前や使い方、やりがいなんかをメモしていきます。恥ずかしがりながらも、真摯なインタビューが続きます。
ミッションの後半では、いよいよ展示とチラシ・ポスターの製作です。自分たちならではの工夫点を問うてみたところ、彼女たちが自ら挙げたのは【見学者にいかに親近感を抱いてもらうか】。なかなかやるでしょ。プロでも忘れがちな〈お客様目線〉。彼女たちの口から出たときは、正直びっくりしました。襟を正そうと思います。
更に彼女たちの快進撃は続きます。具体的な作戦を問うと、①文字よりもイラストと写真を多用する、②いくつかのキャラクターを作り、吹き出しで説明させる、③ルート仕立てで説明を展開していく、といった方針で行くとのこと。どちらかというと、年齢より幼く見える3人で、他愛もないように見えますが、中身は超優秀。将来有望かもしれません。
そんなこんなで完成した展示とチラシは写真のとおり。展示なんか、〈手作り感〉満載ですけれど、カラフルでカワイイでしょ。女性スタッフさんたちからも大評判です。
このミニ展示は、整理作業の説明会イベント〈あの遺跡は今!Part23〉の1コーナーとして、2016年7月16日~18日に一般公開されました。自作のチラシは、学校の協力もあって、全校生徒数百人に配布されるという快挙。どれも逸品に違いありません。
ただ、私にとっての一番の逸品は、彼女たちから届いた御礼のメッセージカードかも。年甲斐もなくハートを撃ち抜かれてしまった気分です。この夏、大切な思い出がまた一つ増えました。(瀬口 眞司)