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調査員のおすすめの逸品№364 「○リデント」―標本物語③―

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 「○リデント」(写真1)。皆さんご存じですか?よく知っていると答えられた方は、もしかすると、入れ歯を使用しているのではないでしょうか?というのは、この「○リデント」は薬局等で販売されている入れ歯洗浄剤なのです。

写真1 入歯洗浄剤○リデント

 滋賀県の文化財、もしくは考古学に関する記事と思って読み始めたのに、どうして入歯洗浄剤の話になるのか、と不思議に思われた方もいらっしゃるかもしれません。私たち考古学に関わる者の中には、これが必須アイテムとなる場合があるのです。

 ○リデントはタブレット型の薬剤であり、本来の用途としては、入れ歯に溜まった食べカスによるヨゴレとニオイを除去することにあります。漂白・除菌剤が含まれており、4つの成分によって99.9%除菌されるそうです。

 この作用に着目し、小型の動物や魚などの動物骨の標本を作る際に○リデントを利用しています。(標本を作る理由については(逸品№304-標本物語①)の方で詳しく説明していますので、ご参照ください)

 骨標本を作るには、ホネからお肉を取り除く作業が必要であり、ホネにお肉が付いたままにしてしまうと、害虫の発生や酷い悪臭の原因になってしまいます。そこで、ピンセットや歯ブラシを使って汚れを取り除いていきます。しかし、それらでは掃除の限界があるため、入歯洗浄剤を使って、落としきれなかった汚れを取り除いていきます。

写真2 ○リデントを使って汚れを落とす様子

 使い方はとても簡単で、入れ歯と同様、クリーニングを終えた標本と水が入った容器に複数個の○リデントを入れるだけです。しばらくすると、緑色の泡がモコモコと立ちのぼります(写真2)。あとは数日放置するだけ。この色が半透明になるまで待ったら、数日置きに水を交換して、キレイにしていきます。

 ○リデントを使用することで、やや生臭く油っぽい標本がベタつかなくなり、フレッシュなミントの香りがするモノを作ることができます。他にも、排水管の掃除を目的とした薬品である「パイプ○ニッシュ」や「洗浄○」を使う場合もありますが、どちらも強力なため、浸したことを忘れて放置し過ぎると骨が壊れてしまうリスクや、目に入ると危険な場合があります。そのため、気長に作るのであれば、○リデントが一番おすすめです。

 標本づくりを通じて、皆さんが食べている生き物がどんな体の構造をしているのか、学ぶことができます。細かい作業が好きな方には、夏の自由研究として、趣味としてオススメです。

(佐藤巧庸)

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