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新近江名所図会

新近江名所圖会 第4回 西山城

高島市
高島市朽木市場

高島市朽木野尻にある西山城は、高島市七頭の一家「朽木氏」の居城とされている山城です。鯖街道として知られる小浜から京に至る街道と、安曇川の本流沿いに走っている街道とが交わる地点で、これら両街道を見下ろす比高差200m程の山上にあります。
主郭を中心に、南北に二つの郭を接続させた縄張りで、主郭部分虎口は土塁で囲まれた内升型になっています。他に、主郭北端にはその用途は明確ではありませんが、土塁を馬蹄形にまわした「のろし台」とされる遺構や南郭に見られる竪土塁(等高線に直行する形で構築された土塁)、さらには北郭背面の二重堀切など特徴的な構造が見られます。
城郭としての規模は決して大きくはありませんが、様々な城郭構造がコンパクトに配された、中世山城を楽しむには格好の城郭です。

西山城竪土塁
竪土塁
西山城主郭虎口
主郭虎口

おすすめPoint

西山城 愛宕社
愛宕社

西山城のおすすめPointは、城郭そのものもさることながら、城郭に祀られている愛宕神社の背面にある「鳴り岩」と呼ばれている巨岩です。愛宕神社の背面の斜面を降り、鳴り岩を見上げると、その巨大さと圧倒的な存在感に驚かされます。10mはあろうかという二個の磐(いわ)は、元は一枚の磐であったものに亀裂が入り現在のように分かれたもののように見えます。磐の割れ目から愛宕神社の社殿が見え、あたかも神(生命)の誕生を連想させるような神々しさに溢れています。
鳴り岩とは、この割れ目を風が通ると不思議な音がするとの言い伝えから名付けられたと言うことです。この岩は里山が資源として管理され、山の灌木が今よりずっと少なかった時代には、麓から仰ぎ見ることができたようです。
鳴り岩は、神が宿る磐座(いわくら)であり、もともと、この磐が信仰の対象だったと考えられます。時代を経てこの神を祀る社殿として愛宕神社が建立されたのでしょう。

西山城 鳴り岩
鳴り岩

さて、西山城と鳴り岩の関係ですが、西山城の立地は戦略上の要衝であることは言うまでもないことですが、この鳴り岩の存在が意識されたのではないかと考えられます。
城郭には二つの機能があります。戦闘する機能と、領国を統治する機能です。この統治する機能を高めること。その一つに信仰の対象となっている神聖な場所を城郭に取り込むことが行われたのでしょう。日々神聖な場所を仰ぎ拝している領民は、そこに城が築城されることにより、いつの間にか、領主を拝することになってしまうのです。

周辺のおすすめ情報

西山城の周辺には,朽木郷土資料館(月・火休館)、敷地内には滋賀県指定文化財の朽木陣屋跡があります。
また,道の駅くつき本陣では毎週日曜と祝日には「日曜朝市」が開催されます。地元の特産品や農作物が売られています。 のぞいて見ても、面白いかもしれません。

アクセス

【電車】JR湖西線安曇川駅下車 江若バス村民グランド下車 徒歩40分
【車】国道161号線「五番領」交差点より朽木方面へ車で30分
国道367号線「山神橋」交差点より安曇川方面へ車で5分
駐車場は朽木郷土資料館を利用有

より大きな地図で 新近江名所図絵 第1回~第50回 を表示

(大沼 芳幸)

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