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新近江名所図会

新近江名所圖會 第367回 自然と文化が融合する場所―大津市瀬田・びわこ文化公園―

大津市
写真1 わんぱく広場遠景
写真1 わんぱく広場遠景

滋賀県埋蔵文化財センターのあるびわこ文化公園は、第162回の新近江名所図会で、紅葉の名所としてすでに紹介されています。11月末の公園内は紅葉と落葉が見られ、冬を感じる季節となっています。新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の中、びわこ文化公園は、令和3(2021)年4月にわんぱく原っぱの遊具が新しくなり(写真1)、6月には、休館していた滋賀県立近代美術館が滋賀県立美術館としてリニューアルオープンしました。(写真2)これによって、文化施設が集まる文化ゾーンと公園の自然ゾーンのすべてが併せて利用できるようになりました。
四季折々の公園内の花や紅葉などの自然の彩(いろどり)を楽しみながら、きれいな空気を吸い、自然を感じ、園内の散策は気持ちの良いものです。また、滋賀県立美術館前の日本庭園『夕照(せきしょう)の庭』(写真3・4)を眺めると心落ち着くでしょう。自然に触れて、一息入れ、今度は文化・芸術へ。

写真2 新しくなった美術館
写真2 新しくなった美術館

リニューアルされた滋賀県立美術館は、近現代美術だけではなく、アール・ブリュットや中世の絵巻物、染織作品まで、多様な美術(アート)の展示が行われています。また、館内は、こども連れの方など、より多くのさまざまな方々が楽しめるようにキッズスペースのあるファミリールームが新設され、1階エントランスには、カフェやショップがあり、だれでも楽しめる工夫が随所にされています。図書館・公園管理事務所を挟んで、東にある滋賀県埋蔵文化財センターでは、ロビーを使った展示公開を行っています(入場無料)。企画展示に加えて、令和3年9月から、一般の方から見たいと要望の多い、日本最古級の相谷熊原遺跡の土偶など、滋賀県指定有形文化財の公開も定期的に実施する予定になっています。
美術館や埋蔵文化財センターで、疑問に思ったことをより深く知りたくなったら、県立図書館へレッツゴ-。近隣の府県の図書館に負けない蔵書を誇り、考古・歴史関係の蔵書もたくさんあります。

写真3 「夕照の庭」の夕照1
写真3 「夕照の庭」の夕照1

自然豊かな広い公園を満喫し文化施設をいろいろと見てまわり、一日楽しむとくたくたになります。また、文化公園内の各施設で行われる子供向けの体験学習やワークショップなどの情報は、美術館が3ヶ月ごとに発行する「アートにドボン」のリーフレットで確認することができます。
各施設のホームページは下記のとおりです。
滋賀県埋蔵文化財センター(https://shiga-mc.sakura.ne.jp
滋賀県立美術館(https://www.shigamuseum.jp
滋賀県立図書館(http://WWW.shiga-pref-library.jp/
びわこ文化公園(https://www.seibu-la.co.jp/park/biwakobunka/

おすすめPoint
公園内を楽しんだ後、ちょっとコーヒーやお茶で一息できる場所をご紹介。美術館1階のカフェ&ショップ、図書館1階のレストラン「Cafe Frank’y」、日本庭園の一角にある茶室「夕照庵」(写真5)があります。

写真4 「夕照の庭」の夕照2
写真4 「夕照の庭」の夕照2

特にお勧めなのが夕照庵での抹茶と和菓子のセット(500円)です。和菓子は干菓子ではなく季節の主菓子がいただけ、とてもリーズナブルなお値段です。日本庭園を眺めながらのひとときは、他の公園では、味わうことができません。

周辺のおすすめ情報
公園のある瀬田丘陵付近は、奈良時代の近江国庁跡や古代の寺跡があり、また飛鳥時代から奈良時代にかけての須恵器窯や製鉄遺跡などの重要な生産遺跡(※)の宝庫です。公園内の一番南端に瀬田丘陵で最も古い製鉄遺跡の源内峠(げんないとうげ)遺跡があります(新近江名所圖会第23回 源内峠遺跡-甦った古代の製鉄遺跡-)。遺跡の現地には、発掘調査に基づいた古代の製鉄炉が復元されており、解説シートも置いてありますので、一度、訪れてみては如何でしょうか。公園を散策しながら奈良時代の公園付近の様子を想像してみてください。

写真5 茶室『夕照庵』
写真5 茶室『夕照庵』

※生産遺跡:土器や陶器などの焼物や鉄や銅などの金属等の生産に特化した遺跡。
アクセス
【公共交通機関】JR琵琶湖線瀬田駅より帝産バス「滋賀医大行き」乗車、「文化ゾーン前」下車、徒歩8分
【自家用車】名神高速道路 瀬田東・瀬田西・草津田上ICから10分、駐車場あり
(中村健二)

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