新近江名所圖會 第400回　その登りやすさは地元の方の努力の賜物―椿山古墳―

　滋賀県の3大古墳といえば、順に近江八幡市の安土瓢箪山古墳(全長134m)、彦根市の荒神山古墳(全長124m)、そして大津市の膳所茶臼山古墳(122m)ですが、では県内４番目の古墳は？と聞かれてピンとくる方はそう多くは無いと思います。

　県内で4番目の大きさを誇り、5世紀の古墳時代中期に限ると県内で最大の古墳が今回ご紹介する椿山古墳です。椿山古墳の全長は99mで、前方部の大きさが後円部の半分以下である帆立貝式の前方後円墳です。現在は前方部が削平されて後円部のみが残る形となっています(写真1)。

　栗東市による2017年の調査では、笠形木製品という、貴人にさす日傘を模して作られた木製の埴輪が見つかりました。特筆すべきはその大きさで、応神天皇陵とも呼ばれる誉田御廟山古墳から見つかった全国最大の笠形木製品に次ぐ大きさであったため、椿山古墳の埋葬者は大王クラスに匹敵し、ヤマト王権と深い関わりがあったのではないかとされています。

◆おすすめポイント

　椿山古墳の特徴は、なんといってもその見学のしやすさです。椿山古墳の標高は115m、地上からの比高は6mほどであるため、頂上まではさほど時間はかかりません。また地元の安養寺景観まちづくり協議会里山部会さんによって頂上までの階段が整備されているため、とても登りやすくなっています。里山部会さんが定期的に椿山古墳周辺の草刈りをされているので、古墳を散策しやすくなっています(写真2)。

　地上からの高さはそれほど高くはありませんが、頂上から見える景色は十分清々しい気持ちにさせてくれます。特に晴れた日には栗東市役所側から三上山が見渡せるため、これぞプチ絶景と呼んでも過言ではないでしょう(写真3)。

◆周辺のおすすめ情報

●ドラゴンラーメン(栗東市安養寺1丁目9-25)　

　栗東市役所裏手の公園の隣にあるラーメン屋です。店名にもなっている名物ドラゴンラーメンは、醤油ベースに豆板醬を混ぜたスープに、たっぷりの野菜、ニンニク、ホルモンが入ったボリュームのある辛いラーメンです。辛さはちょっと辛・中辛(880円・2023年7月現在)・激辛(プラス50円)・超辛(プラス100円)・極辛(1380円)の5段階から選べます。辛い物好きの方は是非食べてみてください。なお、支払いは現金のみとなっていますのでご注意ください。

《参考文献》

栗東市教育委員会 栗東市スポーツ協会『5世紀近江の盟主 椿山古墳の実像に迫る』2021 サンライズ出版

◆アクセス

所在地：栗東市安養寺６丁目９-１９

　【公共交通機関】JR草津線手原駅から徒歩15分

　【自家用車】名神高速道路栗東ICから車で5分

(雨森泰良)