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新近江名所図会

新近江名所圖會 第423回 愛知川の流れとともにあゆむ神社―御崎(みさき)神社―

愛荘町
写真1 御崎神社鳥居

 愛荘町(あいしょうちょう)には23の神社があります。そのなかでも御崎神社は、国道8号線御幸橋北交差点付近を東に下っていくと、愛知川沿いの河川敷にあります。御崎神社の創建は不明ですが、鎌倉時代には存在したことが分かっています。この神社は、昔は水神を祀る神社で別の地域にありました。

写真2 御崎神社本殿

 愛知川流域では1667年より約150年間に渡って、両岸の彦根藩領の村と大和郡山藩領の村との間で争いが繰り広げられていました。なかでも1777年に起こった争い(安永争論)が最も激しく、彦根藩領の各村は愛知川の堤防、河川敷、中洲にあった草刈り場の共有地の利権を主張し、水害対策・護岸権益をめぐって打ち壊しを起こしました。草刈り場とは、江戸時代に付近の村の人々が、田畑に撒く肥料や牛馬の飼料にするための草を刈る共同の場所のことです。

 この争論は京都の町奉行所による吟味の結果、彦根藩領の村々が敗訴し、20の村の45名に対し、処罰が下されるに至りました。この際の義民を祀るため、1796年に愛知川の河川敷に神社が遷座することとなりました。その後は日露戦争以降の戦没者などを合祀してきたそうです。

写真3 御崎神社 ご神木

【おすすめポイント】

 御崎神社では、毎年5月4日に江戸時代の草刈場争論の義民や犠牲者の鎮魂、地域平和、豊作などのための火祭りが行われています。火祭りでは人々が高さ2mの松明を持ちアオンジョとよばれる衣装を着て、直径2m以上ある太鼓と鐘を鳴らしながら神社に向かいます。松明の火は神社の境内に設置された高さ約15mの大松明に移され、大松明からは数10mの火柱が上がるそうです。近年は新型コロナウイルスの影響や担い手不足で中止になっています。

【周辺のおすすめポイント】

写真4 堤防沿いの桜並木

 御崎神社付近の堤防道路沿いは、春には桜並木がきれいに立ち並びます。夏は愛知川祇園納涼祭花火大会や中山道宿場祭り、秋には金剛輪寺で紅葉をみることができ、冬には豊郷小学校旧校舎群にてイルミネーションが開催されます。今年の花火大会も約3500発が打ち上げられ、多くの人出がありました。御崎神社近辺は、どの時期に訪れても四季折々の風景を楽しむことができるので、お近くを通られた際には、寄り道などもいかがでしょうか。

【アクセス】

 公共交通機関 JR琵琶湖線 稲枝駅から徒歩約30分

 自家用車 湖東三山インターチェンジから約20分

  • 神社には駐車場がないため、愛荘町ふれ愛スポーツ公園の駐車場をご利用ください。         (愛荘町ホームページより)

(三好佑佳)

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