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調査員の履歴書

『インタビュー/調査員の履歴書』№8「ほんの偶然が僕を動かしたかも…」

記者発表時の筆者(東近江市土位遺跡にて)

Q:お名前と所属部署を教えてください
A:神保忠宏(じんぼただひろ)と言います。調査課で発掘調査を担当しています。

Q:小さい頃はどんなことをしていましたか。
A:絵や図を描くのが好きでした。中学生のころからボードシミュレーションゲームを始めて以来、ロールプレイングゲーム、プレイバイメール等で遊んでいました。その時も、マッピングしながらゲームを進めていました。
架空世界の地図を見たり描いたりするのも好きで、『指輪物語』(*1)の「中つ国(なかつくに)」(*2)や『オズの魔法使い』の「オズの国」などに憧れを持っていました。大学で地理学を学んだのも、地図を理解して描きたいという気持ちがあったのかもしれません。
※プレイバイメール:郵便やインターネットなどを使用して、遠隔地のゲームプレイヤー同士が遊ぶゲーム
*1:J.R.R.トールキンによる長編小説
*2:トールキンの物語作品の中の架空世界で、ほとんどの物語の舞台とされている場所。

 

Q:今の仕事に就くきっかけは何でしょうか。
A:大学に入ったころは、アナログゲームのデザイナーかホビー産業に就きたいと思っていました。専攻も考古学ではなく歴史地理学で、地図作業とフィールドワークをやっていました。
2回生の時、クラブの先輩に勧められて発掘調査補助員を務めました。図面を描いてみたいという好奇心で入りましたが、初日で泥だらけになり、両手のマメを潰してしまうなど大変な経験をしました。
でも、測量器械の操作や1/20実測図を描くのが楽しくて、そのまま居ついてしまいました。4回生の時、卒論を担当していただいた先生から、歴史地理学を生かしてみるように勧められて、発掘現場で勉強を始め、結果として今の職業に就きました。
調査補助員を勤めていなかったら、今の私はいなかったと思います。ほんの偶然が私の人生を変えたのかもしれません。

Q:一番興味を持っている作業を教えてください
A:空中写真の読図(どくず:地図や図面などを見てその内容を読み取ること)や、主題図を作成するときでしょうか。空中写真や地形図から遺跡の痕跡や微地形を読み取るときや、古い時期の地形を現代の地形図に転写して、その変化を読図するとき、調査した遺跡の遺構分布と地形を比較するときは、ドキドキワクワクしながら作業しています。

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