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新近江名所図会

新近江名所圖會 第406回 旧東海道沿いの町並みをたずねて―石部宿―

湖南市
写真1 西繩手跡

 今回は、旧東海道沿いに設けられていた、江戸時代の石部宿(いしべじゅく)を紹介します。石部宿は、東海道の51番目の宿場町として慶長6年(1601年)に整備されました。京都の三条大橋を朝方に出発すると、石部宿には夕暮れに到着したことから、「京たち石部泊り」といわれ、京都から江戸へ向かう旅人が最初に宿泊した宿場としてたいへん賑わっていました。

 江戸幕府が作成した天保14年(1843年)の『東海道宿村大概帳(とうかいどうしゅくそんたいがいちょう)』には、家数は456件を数え、大名・公家・幕府役人などの身分が高い人が宿泊した本陣が2件・旅籠屋が32件と記載されています。町人などの一般の人々が宿泊した旅籠(はたご)は宿の東西入り口あたりに多く、中央部には商家が軒を連ねていました。

写真2 小島本陣跡

 石部宿の西端には、西繩手(にしなわて)と呼ばれた場所がありました(写真1)。この場所は、石部宿内に入る前に大名行列が整列をした場所です。現在は、休息所も兼ねた公園になっています。旧東海道の街並みを歩くには、この場所を起点としたほうが歩きやすいと思います。

おすすめpoint

 西繩手から旧東海道沿いに15分ほど東側に歩くと、小島本陣跡があります。小島本陣は、貞応元年(1652年)に膳所藩主本田俊次(としつぐ)から本陣職を命じられました。小島本陣は、間口約80m・奥行き約60m・建坪775坪の大規模な建物であったそうです。(写真2)

写真3 石部宿場の里の復元建物(中規模の旅籠)

 石部宿場の里の中にある東海道石部歴史民俗資料館では、江戸時代の小島本陣の模型や本陣の史料も展示されているので、そちらも併せて見学をおすすめします。また、石部宿場の里には、中規模な旅籠屋が復元されていて、当時の旅籠の様子を知ることができます。(写真3)小島本陣よりさらに、東に15分ほど歩くと、高札場跡(こうさつばあと)に着きます。高札場とは、人通りの多い辻などに禁令などの立札が建てられた場所です。また、高札場跡の道路を隔てた向かい側は公園になっていて、休息所となっています。

 

周辺のおすすめ情報

写真4 谷口長栄堂のお菓子

 旧東海道沿いに、江戸時代から続く「谷口長栄堂」という和菓子店があります。今回は、石部宿のお土産用に作られた「石部太鼓」という最中(右側)と、「いしべえどん」というお饅頭(左側)を買ってみました。「石部太鼓」は、太鼓をかたどった小振りの最中で、中には粒あんが入っていました。1つ150円でした。最中の皮が香ばしくてとても美味しかったです。「いしべえどん」は、1つ140円でした。甘すぎないので、いくつでも食べられそうなお饅頭です。そのほかに、イチゴなどの果物を丸ごと包んだ大福が有名らしいです。

アクセス

◎石部旧東海道の街並み→徒歩:JR草津線石部駅から徒歩10分。

◎石部宿場の里→【公共交通機関】JR草津線「石部駅下車」、コミニュテイバス「石部循環

線」乗車、「石部中学校前」バス停より徒歩15分。

        【車】名神高速道路「栗東湖南IC」より約10分。

        ※営業時間 9:00~16;30、定休日は月曜日・祝日の翌日・12月28日~

1月4日、駐車場有り、料金は大人350円・児童生徒150円。電話:0748-77-5400(雨山運動公園管理事務所)

※東海道石部歴史民俗資料館は、石部宿場の里の中にあります。

◎谷口長栄堂→営業時間は9:00~18:00、電話:0748-77-2101。

 (田中咲子)

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