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調査員の履歴書

『インタビュー/調査員の履歴書』№12「大学受験の面接が恩師との出会い」

Q.お名前と所属部署を教えてください。
A.福井知樹(ふくいともき)といいます。調査課に所属しています。

Q.現在はどんなお仕事を担当されていますか?
A.2021年度から安土城考古博物館内にある安土分室で整理調査や木製品などの保存処理を担当しています。

Q.文化財や考古学に関わるきっかけは何でしたか?
A.小さいころから歴史は好きでした。歴史に興味を持ったきっかけは小学校の図書室にあるような偉人のまんが伝記を読んだことだったと思います。小学生の頃は「三國無双」とか「戦国無双」とかそういうゲームをずっとやってました。なので、三国志と戦国・安土桃山時代を中心に興味を持っていました。
小中高と歴史が好きなまま成長していき、そのまま漠然と歴史を学びたいと思って進路を考えていました。この当時では文化財や考古学は頭の片隅にもなかったですね。おおきな転機は大学受験になります。大学受験は推薦入試だったのですが、学科試験だけでなく、面接試験もありました。その時の面接官が恩師になるわけなんですが、その面接で多分、(当時は何も知らないオープンキャンパスで見ただけの)考古学に興味があるって言ったんだと思います。これが大きなターニングポイントとなりました。
晴れて大学生になってすぐの夏、基礎科目だった考古学の講義終了後にその先生に「君の地元で発掘調査あるよ」と言われるがまま、大学1回生の8月、初めての発掘調査に参加することになりました。その時に調査員さんから教わったことや勧められたことが現在の根幹となっているので、少し違えば全く別方向に行ってたんだろうなあと思います。

古代瓦の整理に取り組む福井調査員
古代瓦の整理に取り組む福井調査員

Q.仕事についてから経験した印象的な発見や体験の話を教えてください。
A.今年で当協会に就職してから5年目で、その中で現場に出ていたのは最初の3年間ですが、3年とも印象深いですね。年間通せばいろいろあるのですが、その中でも大きな発見となると“溝跡”が印象深いです。
就職1年目(2018年度)の栗東市の蜂屋遺跡では飛鳥時代後期から奈良時代初頭の寺院を区画する“溝跡”と収納用コンテナ約1,200箱分の古代の瓦が出土しましたし(この莫大な量の瓦を自分が整理するとは思ってもいませんでした)、2年目(2019年度)の栗東市の高野遺跡では、奈良時代中期の“溝跡”から「小型海獣葡萄鏡」という滋賀県内でも3例目という貴重な銅鏡が出土しています。3年目(2020年度)も高野遺跡ですが、奈良時代末期から平安時代初頭にかけての古代東海道を区画する“側溝跡”を発見しています。
いずれも大きな発見で、記者発表がありました。直接、自分が記者発表・取材対応をしたのは高野遺跡の海獣葡萄鏡と古代東海道ですが、蜂屋遺跡の瓦でも取材対応の機会があり、とても緊張したことを覚えています。
今気づいたんですが、飛鳥後期~奈良初頭→奈良中期→奈良末期~平安初頭と徐々に新しい時代になってきているので、次は平安中期~後期くらいの“溝跡”でなにか見つけるんでしょうか。

Q.最後に読者の皆さんに一言お願いします。
A.人生なにがきっかけで変わってくるかわかりません。かく言う自分自身も、上に記したような偶然や少しの必然が重なって今ここにいるのだと思っています。思いがけない方向に舵を切るかもしれませんが、そういった偶然が重なったことにも感謝しながら、今後も頑張っていきたいと思います。

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