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調査員の履歴書

『インタビュー/調査員の履歴書』№5「大学時代の調査経験と研究者へのあこがれ」

その他

Q. 名前と所属部署を教えてください。
A. 宮村誠二(みやむらせいじ)です。現在の所属部署は調査課です。

Q. 文化財や考古学に関わる仕事に就いた志望動機やきっかけは何でしたか?
A. 大学で考古学を学んだことがきっかけです。学生時代は、おもに大学の考古学研究室が行う発掘調査や整理調査に参加して経験を積みました。大学構内の建物の建て替えに伴う発掘調査や福井県若狭地域の古墳の発掘調査に参加したり、国宝の「中平(ちゅうへい)」銘鉄刀が出土したことで有名な奈良県東大寺山古墳から出土した埴輪の整理調査に参加したりしていました。
学術論文を多数発表し、研究会等で活躍されている行政内研究者の方々への憧れもあり、この業界での就職を目指しました。この職場への就職を志望したのは、自分の経験や能力を活かして地元に貢献したいとの思いからでした。

現地説明会の筆者(栗東市蜂屋遺跡にて)

Q. 文化財や考古学に関わる仕事へ実際に就いてみて思うことは何ですか?
A. 実際に調査員として仕事をしてみて分かったことですが、調査員は想像以上に考えることが多いです。調査の方法や進め方、遺跡の位置づけや評価はもとより、発掘現場の安全管理や一緒に調査をしているチームの仲間の体調管理、調査にかかる予算管理など、発掘調査や整理調査に関わるあらゆることに考えを巡らせる必要があります。自分で判断しなければならない場面も多く、そこには難しさも感じますが、難しいからこそ感じることのできるやりがいもありますし、苦労して何かをやり遂げた時には大きな達成感を味わうことができます。

Q. 就職してから経験した印象的な発見や体験の話を教えてください。
A. 当協会に就職して2年目に 栗東市の蜂屋(はちや)遺跡で古代寺院に関わる遺構・遺物を発掘調査したことです。この調査では、寺域を区画していた可能性がある溝の中から7世紀後半頃の瓦がたくさん出土しました。出土した瓦のうち、建物の軒先を飾る軒瓦には奈良県生駒郡斑鳩町(いこまぐんいかるがちょう)にある法隆寺の軒瓦と共通の文様が施されており、この寺院が法隆寺と関わりの深い寺院であったことが考えられました。現地説明会の準備で奈良県に資料調査に行き、同じ型を使ってつくられた瓦の存在を確かめられたことも思い出深いです。
 この発見は新聞やニュースでも取り上げられました。記者発表や取材対応は初めての経験だったのでとても緊張しました。テレビで放送されたニュースを家族と視聴し、幼いわが子が嬉しそうにしている姿を見て、気恥ずかしくもあり、誇らしくもありました。

 【宮村誠二の社会貢献活動】はコチラ

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